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『君の名は。』がイマイチだった人間の『天気の子』評価・ネタバレ感想 ヱヴァや響鬼との類似性

新海監督の最新作だし話題性もすごいしとりあえず観に行くか~と軽い気持ちで劇場に行ったら号泣してしまった。大洪水。『君の名は。』には正直モヤモヤした部分も多くて絶賛されている風潮に嫌気が差していたのだが、この『天気の子』には完全に泣かされた。『君の名は。』がヒットした要因を見つめ直して法則化し、忠実になぞりながら新たな物語が紡がれるのは、既視感と斬新さの見事なハイブリッドでどこか心地よくもある。いやあもうとにかく素晴らしくて素晴らしくて。今年ナンバーワンかもしれない。 小説 天気の子 (角川文庫) 作者: 新海誠 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/07/18 メディア: …

映画『ワイルド・ストーム』評価・ネタバレ感想! 適度に楽しめるちょうどいいB級ディザスター映画

災害を題材にした俗にディザスター映画と言われるジャンルがある。主にB級映画扱いされることが多いが、その内容はまちまちだ。この『ワイルド・ストーム』を監督したのはロブ・コーエン。今やハリウッドの大人気シリーズとなった『ワイルド・スピード』の第一作の監督。なるほど、邦題の「ワイルド」はそこからかと納得した。要は21世紀最大のハリケーンに乗じて6億ドル強奪を目論む強盗集団と、偶然居合わせたある兄弟の戦いを描いた単純な物語なのだが、何故だかすごく面白い。VFXの迫力、ハリケーンが迫る緊迫感、気象学の博士という肩書を活かした主人公の戦闘スタイル。特筆してとんでもない描写があるわけではないが、とにかくバラ…

映画『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』ネタバレ感想! あまりにも保守的すぎるリメイク

ポケモン映画の原点にして最も人気のある『ミュウツーの逆襲』が20年以上の時を経てカムバック。と言えば聞こえはいいが、実際には単に3DCGに変更しただけであり、既に原点を知っている者からすれば目新しさはない。物語に大きな改変もなく、私としては非常に退屈だったというのが率直な感想。こんなに何も変えないなんてことがあるのかよ、というか。 そもそも私は『ミュウツーの逆襲』を含めたポケモン映画があまり好きではない。言い方は悪いが、悪役やうじうじしたゲストキャラに根性論の正論をぶつけるだけの主人公・サトシが絶対的英雄として君臨するだけの物語だと思っている。だからこそ、サトシ以外のキャラクターの心の動きが丁…

映画『トイ・ストーリー4』ネタバレ感想! 「衝撃の結末」である必要は何処に…

誰もが知るディズニー×ピクサーの名作「トイ・ストーリー」が9年ぶりに復活。『トイ・ストーリー3』で愛するアンディの元を離れ、新たにボニーのおもちゃになったウッディに、衝撃の結末が待っているという。予告で「この結末は誰にも予想できない」とされており、もしやとは思っていたが実際に鑑賞して「やりやがったなディズニー!」というのが率直な感想。ネットでも様々な意見が入り乱れているが、私にとってこの映画は、「映画としては100点、トイ・ストーリーとしては0点」という具合である。なぜ、なぜこれがトイ・ストーリーでなければいけなかったのだろうか。 トイ・ストーリー4 (オリジナル・サウンドトラック) アーティ…

映画『黒人魚』評価・ネタバレ感想! 人魚ではなく幽霊

実写版『リトル・マーメイド』のアリエルを黒人女優が演じることが少し前に話題になったが、本作は全くの無関係。人魚伝説をダークに演出したロシア産ホラーで、監督は『ミラーズ 呪怨鏡』のスヴィヤトスラフ・ポドゲイエフスキー。スラヴ神話に登場する水の精霊ルサールカをモチーフにしており、実際には人魚というよりも幽霊譚に近い。登場する「人魚」には鰭や鱗があるわけではなく、ただのずぶ濡れの女性だ。 分かりやすさを突き詰めた結果、邦題が内容と全く合致しない現象は最早お馴染みなので今更気にはしない。ただ、ネットのレビューを漁るとやはり「人魚ってなんですっけ?」と僕の私の人魚論を長々と書き連ねる方が散見されるので、…

映画『スネーク・アウタ・コンプトン』評価・ネタバレ感想! 内容地獄と吹替地獄のダブルパンチ

ラッパー軍団が凶暴な巨大蛇から町を救うというハチャメチャなおバカ映画。CGのクオリティも登場人物のIQも低い。頭を空っぽにして楽しめると言えば聞こえはいいが、個人的にはあまりのくだらなさに辟易してしまった。とりあえず下ネタならウケるだろうという浅はかな考えが見え見えで、全編にわたって非常に下品。キャラクターも全員バカなため、深みなどは全くない。一応序盤のやり取りがラストシーンで効いてくる仕掛けはあるのだが、やはりどうにも中途半端。バカバカしい映画というのは数多くあるが、これはバカの方向性が下ネタ一辺倒なので、それを受け入れられない人はキツいかもしれない。 そもそも巨大蛇が登場する理由すら、いじ…

映画『マーズ・コンタクト』評価・ネタバレ感想! 見せたいことを絞れなかったのか…

開始数分で気づいてしまった。「あ、予告詐欺案件だ!」と。予告詐欺案件とは、海外の映画が日本で公開もしくは発売されるにあたって、独自に作られた日本語版予告がもたらすイメージと本編の内容がまるで異なる案件のこと(私が作った言葉)。映画の盛り上がる部分を勝手に誇張して宣伝することで、完全にネタバレになってしまうこともしばしば。まあ観てほしいという思いがそうさせてしまうのだろうけど、わざわざお金を払って観たこちらは詐欺に遭ったような感覚に陥ってしまう。しかし、私はそういった側面も含めてTSUTAYAで適当にB級映画を借りることはギャンブルだと思っているので、ダメージは少ない。それにこの映画、全く面白く…

映画『孤独なふりした世界で』評価・ネタバレ感想! 喪失感と真摯に向き合う傑作

人類が絶滅した世界でただ一人生き残った男の前にある日突然少女が現れる。言ってしまえばこれだけの話なのだが、秀逸な邦題と淡々とした映像表現が観る者を引き込んでいく。個性派俳優のピーター・ディンクレイジと人気女優のエル・ファニングを主演に据えたこの映画は、非常に繊細かつ難解で、かなり人を選ぶ映画だと思う。世界の終末で生き残った男女という話はもはや手垢のついた設定だが、この映画にとってあくまで設定は舞台装置にすぎない。タイトルにもある通り、孤独や人とのつながり方に対して真摯に向き合ってはいるものの、問題なのは明かされない謎や不明点が多く、そのことが映画の主題を理解する妨げになってしまっているのだ。 …

映画『ダーククリスタル』評価・ネタバレ感想! 子供に見せたい王道ファンタジー!

1983年に公開されたファンタジー映画の名作『ダーククリスタル』が、近々Netflixで復活する。前々からタイトルは聞いていたものの、ファンタジー映画に耐性のない私は全く手を付けずにいた。しかし、新作が配信されるというし、Netflixで映画版の配信も始まったしということで、意を決してこの名作を鑑賞。物語は少年が世界を救うという王道ファンタジーだが、その真髄はセットや造形の作り込みにあった。正直30年以上前に公開された名作のレビューを今更するというのもなんだかおこがましい気がするのだが、感動を覚えたものに関してはやはり何かしら言語化しておきたい。大して知識のない映画好きが、素人なりにこの映画を…

映画『X-MEN ダーク・フェニックス』評価・ネタバレ感想! 微妙と最高が同居する複雑な完結編

遂に完結してしまった『X-MEN』。今となってはアメコミ映画は映画界にとって欠かせない存在になったが、その原点はX-MENシリーズである。X-MENの映画がなければ、スパイダーマンもMCUもダークナイトもなかったかもしれない。X-MENシリーズはアメコミ映画というジャンルを誕生させ、存続を決定づけた偉大なシリーズなのである。 しかし、そんな偉大な作品であるにも関わらず、その評価はかなり微妙。作品が公開されるたびに、設定の矛盾や面白さのムラに苦しめられたファンたちの中には、MCU派へと流れてしまった者たちも多いだろう。そして、今作『X-MEN ダーク・フェニックス』も、20世紀FOXがディズニー…