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本を馬を犬を駆使して生きようと藻掻く男の生き様 映画『ジョン・ウィック:パラベラム』評価・ネタバレ感想!

失礼な話ではあるが、人が必死になって生きようとする姿がどこか滑稽に見えることがある。この『ジョン・ウィック:パラベラム』にはそういう瞬間が何度も訪れる。思い返せば、1作目の時点で愛犬を殺された男の復讐劇と宣伝され、なんだそれと可笑しくなってしまった記憶がある。実際には最愛の妻を病気で亡くした失意の男が、妻からの最後の贈り物である愛犬を殺されたという背景があるのだが、確かに「犬を殺された男の復讐」も間違っていないのが面白い。しかし、そんなふざけたスタートから繰り出される物語は非常に重苦しい。妻を失い、犬を殺され、車を奪われた元最強の暗殺者が本気を出して殺しに向かってくる。当時話題にもなった『ドン…

轟と村山の活躍に大感動! 映画『HiGH&LOW THE WORST』評価・ネタバレ感想!

完結したはずの『HiGH&LOW』シリーズの新作はまさかまさかの人気漫画『WORST』とのコラボ作品だった。発表された当初、私を含めたファンはかなり驚いたものである。始まりはEXILE HIROのプロデュースによるEXILE TRIBEファンのための作品だったはずが、豪華なキャスト陣と、彼らが繰り広げる常軌を逸したアクション、複数のキャラクターが入り乱れる壮大な物語が幅広い層から支持を得て、ハイローという一ジャンルを築いた。かく言う私もハイローを観るまではEXILE系のアーティストなど全く見向きもしなかった人間である。それが今ではドラマやバラエティで見かける度にコブラだヤマトだと大はしゃぎして…

前作との差別化はバッチリ 映画『ヘルボーイ』評価・ネタバレ感想!

1994年にアメリカのダークホースコミックスから刊行されたマイク・ミニョーラの作品、『ヘルボーイ』はこれまでに2度映画化されている。1作目は2004年の『ヘルボーイ』。後に『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞を受賞することになるギレルモ・デル・トロが監督を務め、その独創的なデザインや演出、そしてコミックらしいアクションと繊細なラブストーリーが評判となり、大ヒット。2008年に2作目の『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』が公開された。こちらも1作目の正統続編とあってアクションやCGのクオリティも高まり非常に面白い1作。1作目で完結したと思われたヘルボーイと恋人リズの仲が再び描かれる。思え…

原作を実写で追体験! 実写化映画『惡の華』評価・ネタバレ感想!

世の中には2種類の人間がいる。漫画『惡の華』を読んで気持ち悪いと一蹴する人と、嗚咽を漏らして泣き崩れる人である。私は後者の人間で、映画を観るにあたりもう何度目か分からないほど読んだ原作を改めて開いたところ、またも涙を流してしまった。思春期の鬱屈した感情と、自分が空っぽだと気付いてしまう無力感。共感できる人がいるのと同時に嘲笑ってしまう人がいるのも無理はない作品である。私自身、原作をリアルタイムで楽しんでいた高校時代は周りの人間がバカに見えて仕方がなかった。リアル春日(中学生編)である。しかし、社会人になって読んだ原作はまるで別物だった。春日が大人の階段を上っていくステップが自分と重なり、高校生…

ジュブナイルSFの新たな傑作 映画『HELLO WORLD』評価・ネタバレ感想!

伊藤智彦監督のことも野崎まどのこともほぼ知らず、そもそもアニメ映画自体あまり観ないのだが、予告の雰囲気でなんだか面白そうだなあと思い鑑賞した本作。メインキャラに声を当てているのは北村匠海、浜辺美波、松坂桃李の人気俳優3人で、挿入歌に若者に人気なofficial髭男dism、エンディングはOKAMOTO'Sというアニメファン以外の層にもアプローチをかけた作品で、私の隣に座っていた女性は挿入歌の時に首を振ってリズムをとっていたため、アーティストのファンや俳優のファンにとっても見逃せない作品だったのだろう。物語の構造や設定も10年後の自分が主人公の前に現れて…という至ってシンプルなものと思わせて、実…

怖いというよりビックリ系 映画『アナベル 死霊博物館』評価・ネタバレ感想!

実在する霊媒師、ウォーレン夫妻の活躍を描いた『死霊館』から発展し、人間と悪魔・悪霊との戦いを描きつつ家族の尊さを訴えかけ続ける死霊館シリーズ最新作は、スピンオフとして制作されたアナベルシリーズの3作目。本家死霊館がまだ2作しか公開されていないため、スピンオフの方が本家より多くなってしまった。しかし、アナベル人形は『死霊館』から出続けていて夫妻にとっては宿敵と言ってもいいほどの存在なので、ある意味本家とも捉えられるかもしれない。『死霊館』では夫妻の娘を恐怖に陥れ、のち2作の単独映画で自身の目的のためにあらゆる人々を巻き込んできたことが発覚するアナベル人形。容姿だけで既に十分恐ろしいが、その実力も…

実写化としてどうだったか? 映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』評価・ネタバレ感想!

ヤングジャンプで連載中の人気漫画『かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』が遂に実写映画化である。冬にテレビアニメが放送されたばかりで、正にノリにのってると言えるだろう。しかも大人気のKing&Princeの平野紫耀と橋本環奈のW主演。その他にもティーンに人気のある若手俳優を据え、ヒットさせる気満々である。だが、問題なのはこの作品が恋愛よりもコメディの要素が強いということ。そもそも青年誌の連載作品なので、かなりオタク向けの展開が繰り広げられるのである。しかし、やはりというべきか予告では一風変わった恋愛ものとして宣伝され、まるで少女漫画原作かのような顔をしている。そう、頭脳戦は既に始まっ…

容姿を笑われた男の報復劇 映画『ラバーボーイ』評価・ネタバレ感想!

ジェイソンやレザーフェイスなど、海外のホラー映画には特徴的なマスクを被った殺人鬼が数多く登場する。本作に登場する殺人鬼も、例のごとくマスクを被り、次々と女性を殺害していく。パッケージにドンと配置されているマスクは出てこないので注意。しかし、本編で被っているマスクの絶妙な無表情の方が恐怖を掻き立てるかもしれない。基本的にはチープなホラー・スラッシャー系映画なのだが、これがなかなか面白い。ポルノサイトで私生活の全てを監視されている女性たちが、ある男の怒りを買ったことで殺されていくというなかなか現代的なストーリー。 原題は『GIRL HOUSE』で、無論主人公の女性カイリー達が暮らすポルノサイト運営…

永遠に救われない男の最後の選択とは… 映画『復讐の十字架』評価・ネタバレ感想!

『復讐の十字架』というかなり抽象的でパッとしない邦題だが、映画を観るとこの重苦しさが腑に落ちる。『ロード・オブ・ザ・リング』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』で有名なオーランド・ブルームを主演に据え、彼の端正な顔立ちと演技力を凝縮したような1作。ジャケットではオーランド・ブルームが巨大な十字架を担いでいるが、因縁の相手と戦うための武器ではない。あくまで比喩である。 キリスト教において十字架とはキリストへの敬意を示すものであり、最も重要な宗教的象徴。この映画の主役、オーランド・ブルーム演じるマルキーは解体作業員として町の教会を取り壊している。それだけでなく、この映画においてキリスト教は非常に強い…

一体どこがワイルドなのか。映画『ワイルド・レース』評価・ネタバレ感想!

ワイルド(wild)とは、英語で野生・野蛮・乱暴などの意味を持つ言葉であるが、日本では全身をデニムでコーディネートした1人の芸人によって、半ば揶揄するような意味合いも含まれてしまった。しかし、アクション映画を頻繁に鑑賞する人にとっては、更にもう一つの意味を持つ言葉である。そう、我々にとってワイルドから車やレースを連想するのは非常に容易い作業なのだ。それもこれも、『ワイルド・スピード』シリーズのおかげである。 犯罪者集団のボスとそこに潜入したFBI捜査官がカーレースを通じて交流を深めるうちにいつしか無二の親友になっていく…という1作目からアクションがどんどん飛躍して直近のスピンオフではサイボーグ…