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原作を実写で追体験! 実写化映画『惡の華』評価・ネタバレ感想!

世の中には2種類の人間がいる。漫画『惡の華』を読んで気持ち悪いと一蹴する人と、嗚咽を漏らして泣き崩れる人である。私は後者の人間で、映画を観るにあたりもう何度目か分からないほど読んだ原作を改めて開いたところ、またも涙を流してしまった。思春期の鬱屈した感情と、自分が空っぽだと気付いてしまう無力感。共感できる人がいるのと同時に嘲笑ってしまう人がいるのも無理はない作品である。私自身、原作をリアルタイムで楽しんでいた高校時代は周りの人間がバカに見えて仕方がなかった。リアル春日(中学生編)である。しかし、社会人になって読んだ原作はまるで別物だった。春日が大人の階段を上っていくステップが自分と重なり、高校生…

ジュブナイルSFの新たな傑作 映画『HELLO WORLD』評価・ネタバレ感想!

伊藤智彦監督のことも野崎まどのこともほぼ知らず、そもそもアニメ映画自体あまり観ないのだが、予告の雰囲気でなんだか面白そうだなあと思い鑑賞した本作。メインキャラに声を当てているのは北村匠海、浜辺美波、松坂桃李の人気俳優3人で、挿入歌に若者に人気なofficial髭男dism、エンディングはOKAMOTO'Sというアニメファン以外の層にもアプローチをかけた作品で、私の隣に座っていた女性は挿入歌の時に首を振ってリズムをとっていたため、アーティストのファンや俳優のファンにとっても見逃せない作品だったのだろう。物語の構造や設定も10年後の自分が主人公の前に現れて…という至ってシンプルなものと思わせて、実…

怖いというよりビックリ系 映画『アナベル 死霊博物館』評価・ネタバレ感想!

実在する霊媒師、ウォーレン夫妻の活躍を描いた『死霊館』から発展し、人間と悪魔・悪霊との戦いを描きつつ家族の尊さを訴えかけ続ける死霊館シリーズ最新作は、スピンオフとして制作されたアナベルシリーズの3作目。本家死霊館がまだ2作しか公開されていないため、スピンオフの方が本家より多くなってしまった。しかし、アナベル人形は『死霊館』から出続けていて夫妻にとっては宿敵と言ってもいいほどの存在なので、ある意味本家とも捉えられるかもしれない。『死霊館』では夫妻の娘を恐怖に陥れ、のち2作の単独映画で自身の目的のためにあらゆる人々を巻き込んできたことが発覚するアナベル人形。容姿だけで既に十分恐ろしいが、その実力も…

実写化としてどうだったか? 映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』評価・ネタバレ感想!

ヤングジャンプで連載中の人気漫画『かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』が遂に実写映画化である。冬にテレビアニメが放送されたばかりで、正にノリにのってると言えるだろう。しかも大人気のKing&Princeの平野紫耀と橋本環奈のW主演。その他にもティーンに人気のある若手俳優を据え、ヒットさせる気満々である。だが、問題なのはこの作品が恋愛よりもコメディの要素が強いということ。そもそも青年誌の連載作品なので、かなりオタク向けの展開が繰り広げられるのである。しかし、やはりというべきか予告では一風変わった恋愛ものとして宣伝され、まるで少女漫画原作かのような顔をしている。そう、頭脳戦は既に始まっ…

容姿を笑われた男の報復劇 映画『ラバーボーイ』評価・ネタバレ感想!

ジェイソンやレザーフェイスなど、海外のホラー映画には特徴的なマスクを被った殺人鬼が数多く登場する。本作に登場する殺人鬼も、例のごとくマスクを被り、次々と女性を殺害していく。パッケージにドンと配置されているマスクは出てこないので注意。しかし、本編で被っているマスクの絶妙な無表情の方が恐怖を掻き立てるかもしれない。基本的にはチープなホラー・スラッシャー系映画なのだが、これがなかなか面白い。ポルノサイトで私生活の全てを監視されている女性たちが、ある男の怒りを買ったことで殺されていくというなかなか現代的なストーリー。 原題は『GIRL HOUSE』で、無論主人公の女性カイリー達が暮らすポルノサイト運営…

永遠に救われない男の最後の選択とは… 映画『復讐の十字架』評価・ネタバレ感想!

『復讐の十字架』というかなり抽象的でパッとしない邦題だが、映画を観るとこの重苦しさが腑に落ちる。『ロード・オブ・ザ・リング』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』で有名なオーランド・ブルームを主演に据え、彼の端正な顔立ちと演技力を凝縮したような1作。ジャケットではオーランド・ブルームが巨大な十字架を担いでいるが、因縁の相手と戦うための武器ではない。あくまで比喩である。 キリスト教において十字架とはキリストへの敬意を示すものであり、最も重要な宗教的象徴。この映画の主役、オーランド・ブルーム演じるマルキーは解体作業員として町の教会を取り壊している。それだけでなく、この映画においてキリスト教は非常に強い…

一体どこがワイルドなのか。映画『ワイルド・レース』評価・ネタバレ感想!

ワイルド(wild)とは、英語で野生・野蛮・乱暴などの意味を持つ言葉であるが、日本では全身をデニムでコーディネートした1人の芸人によって、半ば揶揄するような意味合いも含まれてしまった。しかし、アクション映画を頻繁に鑑賞する人にとっては、更にもう一つの意味を持つ言葉である。そう、我々にとってワイルドから車やレースを連想するのは非常に容易い作業なのだ。それもこれも、『ワイルド・スピード』シリーズのおかげである。 犯罪者集団のボスとそこに潜入したFBI捜査官がカーレースを通じて交流を深めるうちにいつしか無二の親友になっていく…という1作目からアクションがどんどん飛躍して直近のスピンオフではサイボーグ…

コメディというにはあまりにもチープでつまらない 映画『引っ越し大名!』評価・ネタバレ感想!

突如国替えを命じられた姫路藩は、書庫にこもって本を読んでばかりいる片桐春之介を引越奉行に任命。無理難題を押し付けられた彼が仲間の助けを得て奮闘するというコメディ映画。あらすじだけ聞くとどうしても『超高速! 参勤交代』を連想してしまうのだが、調べてみるとなんと原作者が同じらしい。それはそれで心配になるが、私は『超高速!』を観ていないので、内容がカブっていたところで気にせず鑑賞することができた。時代劇もあまり観ないし、歴史にも疎い。未知のジャンルでもあるため、ある程度は楽しく観られるだろうと期待していたのだが、結果はかなり退屈。コメディなのにスピード感が全然足りず、スベりそうになるとガヤの笑い声で…

映画『この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説』評価・ネタバレ感想! いつもと変わらぬ『このすば』

RPGを題材にした転生異世界ファンタジーものが横行するラノベ・アニメ業界で、他の作品とは明らかに異なるアプローチで見事大成功を収めた『この素晴らしい世界に祝福を!』(通称:このすば)。ファンタジーや転生ものの王道を逆手に取り、個性豊かなズレた面々が激しく調子に乗ることでトラブルを巻き起こす。昭和のコント番組のようなコテコテ感がクセになる、異世界コメディという稀有なジャンルなのである。トラックに轢かれそうになった女の子を救って命を落としたかと思いきや実は救う必要はなかった上に自身はトラクターに轢かれて死んだカズマ。異世界への転生にあたり、何か一つを持っていけると説明された彼は、速攻で女神のアクア…

日本のドラマも捨てたもんじゃない! 映画『劇場版 おっさんずラブ LOVE or DEAD』評価・ネタバレ感想!

社会現象にまでなったのでタイトルだけは知っていたのだが、私が観始めたのはつい先週の話。映画があまりにも話題になっているので、ミーハー気質が疼いた結果ドラマ版を観てこの波に乗ってみようと軽い気持ちで鑑賞すると全く止まらなくなってしまい、たった2日で全7話を終わらせてしまった。あそこまで話題になった作品なら万人ウケを狙ったものだろうとたかを括っていたのだが、これがまあ見事なエンターテイメントで、申し訳ない気持ちでいっぱいである。ラブコメのお約束を男同士で繰り広げるコメディパートと、春田・部長・牧の三角関係を丁寧に描いたシリアスパートの配分が完璧で「おっさんに告白されちゃった〜」というギャグもここま…