映画『IT/イット THE END それが見えたら、終わり。』評価・ネタバレ感想! ITの続編はホラー薄めの青春ドラマ

スティーヴン・キングの代表作を映画化した『IT/イット それが見えたら、終わり。』の続編にして完結編が遂に公開された。ルーザーズ・クラブがイットと戦ってから27年後の2016年。デリーに再びイットが現れたことを知ったマイクは、他のメンバーに「約束を果たす時が来た」と電話をかける。マイクの話を聞いて幼

映画『ジェミニマン』評価・ネタバレ感想! 2人のウィル・スミスが醸し出す日曜洋画劇場感

「ウィル・スミス VS ウィル・スミス」という心躍る見出しが目を引くが、どうやら興行収入の面では苦戦しているようだ。 CG技術の進歩で同一人物が画面に複数存在することはもはや珍しくはないし、『スター・ウォーズ』なんかでは亡くなった役者を合成で再現していた。そのある種の到達点がこの『ジェミニマン』であ

映画『スペシャルアクターズ』評価・ネタバレ感想! 逃れられない『カメ止め』の呪縛

『カメラを止めるな!』で一躍時の人となった上田慎一郎監督の最新作、『スペシャルアクターズ』を観た。結果から言うと、なるほど上田監督ってこういう作風なのねと勉強になったというか、どうしても『カメ止め』と比較してしまう内容であったと思う。冒頭オーディションのシーンで監督らしき男性に叱責されるのも、緊張す

映画『マレフィセント2』評価・ネタバレ感想! おとぎ話から脱却した慈愛の魔女の物語

『眠れる森の美女』に登場しオーロラ姫に呪いをかけるヴィラン・マレフィセントが実は悪人ではなかったという大胆な解釈を、アンジェリーナ・ジョリーの凄味のある演技と強引な展開の力業で大成功させてしまった第1作『マレフィセント』に続き、ついに2作目が公開。原題は『MISTRESS OF EVIL』という副題

映画『楽園』評価・ネタバレ感想! この映画に犯人を求めてはいけない

  『64』の瀬々敬久監督が吉田修一の『犯罪小説集』の短編2編を原作に傑作を作り上げてしまった。少女を殺したとされる容疑者の男(綾野剛)、失踪の直前まで友だちと一緒にいたことで罪悪感を抱えてしまった少女(杉咲花)、故郷の村を養蜂で立て直そうとするも住人から疎外されていく男(佐藤浩市)。三者三様の苦し

本を馬を犬を駆使して生きようと藻掻く男の生き様 映画『ジョン・ウィック:パラベラム』評価・ネタバレ感想!

  失礼な話ではあるが、人が必死になって生きようとする姿がどこか滑稽に見えることがある。この『ジョン・ウィック:パラベラム』にはそういう瞬間が何度も訪れる。思い返せば、1作目の時点で愛犬を殺された男の復讐劇と宣伝され、なんだそれと可笑しくなってしまった記憶がある。実際には最愛の妻を病気で亡くした失意

前作との差別化はバッチリ 映画『ヘルボーイ』評価・ネタバレ感想!

  1994年にアメリカのダークホースコミックスから刊行されたマイク・ミニョーラの作品、『ヘルボーイ』はこれまでに2度映画化されている。1作目は2004年の『ヘルボーイ』。後に『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞を受賞することになるギレルモ・デル・トロが監督を務め、その独創的なデザインや演出

原作を実写で追体験! 実写化映画『惡の華』評価・ネタバレ感想!

    世の中には2種類の人間がいる。漫画『惡の華』を読んで気持ち悪いと一蹴する人と、嗚咽を漏らして泣き崩れる人である。私は後者の人間で、映画を観るにあたりもう何度目か分からないほど読んだ原作を改めて開いたところ、またも涙を流してしまった。思春期の鬱屈した感情と、自分が空っぽだと気付いてしまう無力感

ジュブナイルSFの新たな傑作 映画『HELLO WORLD』評価・ネタバレ感想!

    伊藤智彦監督のことも野崎まどのこともほぼ知らず、そもそもアニメ映画自体あまり観ないのだが、予告の雰囲気でなんだか面白そうだなあと思い鑑賞した本作。メインキャラに声を当てているのは北村匠海、浜辺美波、松坂桃李の人気俳優3人で、挿入歌に若者に人気なofficial髭男dism、エンディングはOK