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映画『黒人魚』評価・ネタバレ感想! 人魚ではなく幽霊

実写版『リトル・マーメイド』のアリエルを黒人女優が演じることが少し前に話題になったが、本作は全くの無関係。人魚伝説をダークに演出したロシア産ホラーで、監督は『ミラーズ 呪怨鏡』のスヴィヤトスラフ・ポドゲイエフスキー。スラヴ神話に登場する水の精霊ルサールカをモチーフにしており、実際には人魚というよりも幽霊譚に近い。登場する「人魚」には鰭や鱗があるわけではなく、ただのずぶ濡れの女性だ。 分かりやすさを突き詰めた結果、邦題が内容と全く合致しない現象は最早お馴染みなので今更気にはしない。ただ、ネットのレビューを漁るとやはり「人魚ってなんですっけ?」と僕の私の人魚論を長々と書き連ねる方が散見されるので、…

映画『スネーク・アウタ・コンプトン』評価・ネタバレ感想! 内容地獄と吹替地獄のダブルパンチ

ラッパー軍団が凶暴な巨大蛇から町を救うというハチャメチャなおバカ映画。CGのクオリティも登場人物のIQも低い。頭を空っぽにして楽しめると言えば聞こえはいいが、個人的にはあまりのくだらなさに辟易してしまった。とりあえず下ネタならウケるだろうという浅はかな考えが見え見えで、全編にわたって非常に下品。キャラクターも全員バカなため、深みなどは全くない。一応序盤のやり取りがラストシーンで効いてくる仕掛けはあるのだが、やはりどうにも中途半端。バカバカしい映画というのは数多くあるが、これはバカの方向性が下ネタ一辺倒なので、それを受け入れられない人はキツいかもしれない。 そもそも巨大蛇が登場する理由すら、いじ…

映画『マーズ・コンタクト』評価・ネタバレ感想! 見せたいことを絞れなかったのか…

開始数分で気づいてしまった。「あ、予告詐欺案件だ!」と。予告詐欺案件とは、海外の映画が日本で公開もしくは発売されるにあたって、独自に作られた日本語版予告がもたらすイメージと本編の内容がまるで異なる案件のこと(私が作った言葉)。映画の盛り上がる部分を勝手に誇張して宣伝することで、完全にネタバレになってしまうこともしばしば。まあ観てほしいという思いがそうさせてしまうのだろうけど、わざわざお金を払って観たこちらは詐欺に遭ったような感覚に陥ってしまう。しかし、私はそういった側面も含めてTSUTAYAで適当にB級映画を借りることはギャンブルだと思っているので、ダメージは少ない。それにこの映画、全く面白く…

映画『孤独なふりした世界で』評価・ネタバレ感想! 喪失感と真摯に向き合う傑作

人類が絶滅した世界でただ一人生き残った男の前にある日突然少女が現れる。言ってしまえばこれだけの話なのだが、秀逸な邦題と淡々とした映像表現が観る者を引き込んでいく。個性派俳優のピーター・ディンクレイジと人気女優のエル・ファニングを主演に据えたこの映画は、非常に繊細かつ難解で、かなり人を選ぶ映画だと思う。世界の終末で生き残った男女という話はもはや手垢のついた設定だが、この映画にとってあくまで設定は舞台装置にすぎない。タイトルにもある通り、孤独や人とのつながり方に対して真摯に向き合ってはいるものの、問題なのは明かされない謎や不明点が多く、そのことが映画の主題を理解する妨げになってしまっているのだ。 …

映画『ダーククリスタル』評価・ネタバレ感想! 子供に見せたい王道ファンタジー!

1983年に公開されたファンタジー映画の名作『ダーククリスタル』が、近々Netflixで復活する。前々からタイトルは聞いていたものの、ファンタジー映画に耐性のない私は全く手を付けずにいた。しかし、新作が配信されるというし、Netflixで映画版の配信も始まったしということで、意を決してこの名作を鑑賞。物語は少年が世界を救うという王道ファンタジーだが、その真髄はセットや造形の作り込みにあった。正直30年以上前に公開された名作のレビューを今更するというのもなんだかおこがましい気がするのだが、感動を覚えたものに関してはやはり何かしら言語化しておきたい。大して知識のない映画好きが、素人なりにこの映画を…

映画『X-MEN ダーク・フェニックス』評価・ネタバレ感想! 微妙と最高が同居する複雑な完結編

遂に完結してしまった『X-MEN』。今となってはアメコミ映画は映画界にとって欠かせない存在になったが、その原点はX-MENシリーズである。X-MENの映画がなければ、スパイダーマンもMCUもダークナイトもなかったかもしれない。X-MENシリーズはアメコミ映画というジャンルを誕生させ、存続を決定づけた偉大なシリーズなのである。 しかし、そんな偉大な作品であるにも関わらず、その評価はかなり微妙。作品が公開されるたびに、設定の矛盾や面白さのムラに苦しめられたファンたちの中には、MCU派へと流れてしまった者たちも多いだろう。そして、今作『X-MEN ダーク・フェニックス』も、20世紀FOXがディズニー…

映画『ザ・ファブル』評価・ネタバレ感想! 岡田くんを殺し屋にしておきながら微妙

凄腕の殺し屋”ファブル”が、一年間だけ身元を偽って普通に暮らす。「舐めてた相手が実は〇〇だった」系の話は近年ハリウッド映画でもよく見られるが、『ザ・ファブル』はそれを連載漫画として更に一段階推し進めた作品だ。主人公・佐藤の殺し屋としての技能は圧倒的で、彼が関われば事件はたちまち解決してしまう。しかし、”普通に暮らす”という任務があるため、基本は自分の身元を偽る。それでも殺し屋として過ごしてきたせいで、どこか感性が人とずれている。そのちぐはぐさが妙なユルさを醸し出しており、なんというか、非常に味のある漫画なのだ。 そんな大人気漫画『ザ・ファブル』が遂に実写化。比較的リアルに寄り添った設定のためか…

映画『パージ:エクスペリメント』評価・ネタバレ感想! シリーズ史上最高! ひたすらに暴力の嵐

犯罪抑止のため、年に1度、夜12時間だけ殺人を含む全ての犯罪が合法化される”パージ法”が制定されたアメリカを描き、大ヒットしたパージシリーズ。映画だけでなくテレビドラマにもなっており、本作『パージ:エクスペリメント』は映画1作目の更に前、パージ法制定の日に迫る内容になっている。パージの目的が犯罪抑止ではなく、低所得者を殺害する口減らしにあることは過去の映画でも指摘されてきた。パージシリーズはその滅茶苦茶な設定とは裏腹に、しっかりとした社会問題への警鐘を孕んだクレバーな作品なのである。 しかし私見としてはその頭の良さが逆に足枷になってしまっていたというか。正直設定から感じる殺伐さよりも内容の小難…

Netflix映画『リム・オブ・ザ・ワールド』評価・ネタバレ感想! 少年少女が世界を救うための冒険に出る!

「4人の少年少女が世界を救う」と聞いて、個人的には『スタンド・バイ・ミー』のような冒険譚をイメージしていたのだが、実際にはもっとスリルに溢れ、常に死を意識させてくるパニックアドベンチャーものだった。どちらかというと、『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』に似た物語。あの映画の登場人物が全員モロ子ども(『ジュマンジ』でも外見が大人なだけで中身は子ども)といった内容だった。突如異星人が襲来し、キャンプ場で出会った4人の少年少女は、宇宙飛行士から世界を救う鍵を渡される。世界の命運は彼らに託された。 それぞれトラウマや悩みを抱えた4人が、仲間と共に冒険へ出かけ、時に衝突しながらも世界を救うために…

Netflix映画『アイ・アム・マザー』評価・ネタバレ感想・解説! 皆、この映画の真相に気づいてくれ~~~~

先日配信されたNetflix映画『アイ・アム・マザー』。率直な感想としては「やられた~~~~~~」というか「そっちかああああああああ」というか、とにかく事前情報やイメージからは想像のつかない方向性の映画で、硬派なSFに見えてある程度知識が必要になるタイプの作品。これ完全に大好物のやつや…と気づいたのは本当に終盤。全ての仕掛けに気づいた時、アイアムマザーというタイトルの意味すらも違って見えてくるという、まあ巧妙な映画だった。これをアンドロイドと人間の交流を描いたSFと捉えてしまうとかなり味気ない作品に思えてしまいそうだけど、実際はそうじゃないんだ! 裏側で物凄いストーリーが練られている作品なんだ…