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究極のお祭り映画! 映画『ワンピース スタンピード』評価・ネタバレ感想!

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平成が終わり令和元年を迎えた2019年、『ONE PIECE』のアニメにとっても20周年という節目の年になった。マンガの連載が始まったのが1997年。テレビアニメは1999年の10月から放送を開始している。劇場公開の映画としては14作目で、「ONE PIECE FILM」シリーズとしては4作目。今回は海賊万博を題材にしており、麦わらの一味だけでなく様々なキャラクターが入り乱れて強敵・バレットと戦う物語。バレットはゴールド・ロジャーの船の船員であり、当時の大将センゴクがバスターコールによってようやくインペルダウンへ送ることのできた恐ろしい力の持ち主。物語の根幹にも深く関わる強敵を前に予想外のメンバーが共闘することになる。

 

一言で言えば本当にサイコー。このキャラクター達が一堂に会することが、これだけ多くの過去キャラが登場することが、流麗な作画でONE PIECEを楽しむことがどれだけ貴重なことなのか、ファンなら分かっていることだろう。ONE PIECEのテレビアニメはお世辞にも褒められた出来ではなく、最近のワノ国編では少し改善されたが、それでもやはりいつもの東映アニメーションの域を出ない。マンガの1話分を無理矢理引き伸ばし30分で放送するという無謀さ。ツッコミのテンポも悪く、変な所に間を入れたりする。結果的にマンガの良い補完になっていることもあるが、アニメーションとしてはあまりいい作品とは言えないだろう。

 

しかし、この映画『スタンピード』は違う。テレビアニメや過去の劇場版とは比べ物にならないほど気合が入っており、近い記憶だと『ドラゴンボール超 ブロリー』を思い出させるほど勢いのある作品。しかもルフィやゾロだけでなく、最悪の世代やサボ、スモーカー達の戦いをスクリーンで拝むことが出来るのだ。ファンにとってこれほど嬉しいことはない。

 

素晴らしいのは作画だけではない。勢いに身を任せつつ物語の根幹にはしっかりと芯を通すという丁寧さ。言うなれば『ONE PIECE』というマンガを最大出力でアニメ化したような作品なのだ。勢いについては申し分ない。過去のキャラが次々と画面に溢れ返るオープニングから海賊万博が始まり、バレットが登場すると最悪の世代との戦いが始まる。ルフィ達に勝利したバレットは悪魔の実の能力を覚醒させ、島を丸ごと自分と一体化してしまう。もはや怪物(ONE PIECEのキャラとは思えない)となってしまった彼に立ち向かうのはルフィ、バギー、スモーカー、ロー、ハンコック、サボの6人。そこにクロコダイルとルッチまでもが加わり、テンションを爆上げしにかかってくる。

 

私が思う『ONE PIECE』の魅力は大きく分けて2つある。1つは時代劇的な面白さ。強大な力を持つ悪人に虐げられた村人達のために悪と戦うヒーローという物語の構図だ。この辺りは時代劇が大好きな作者の趣味嗜好に依るものが大きい。画期的なのはルフィ達はあくまで海賊だという点で、彼らは人々を救うものの世界からは悪と見做される。冒険譚とヒーロー劇が重なった上にオリジナリティが上乗せされているのが物語的な魅力だ。

 

もう1つがキャラクターの魅力。最近では敵の戦闘員が一気に10人近く登場することも当たり前になっており頭が混乱するが、ONE PIECEのキャラクターは基本的に死ぬことがない。作者もコメントしている通り、ルフィ達の戦いは信念を折ることで決着をつけているため、極力死人が出るようなことはない。だからこそ、エースの死が衝撃的なものだったのである。そして、その死なないキャラクター達が、物語が進むごとに立場や階級を変えてルフィ達の前に出現する。これは主にインペルダウン編から顕著になってきており、ルフィ達が戦った強敵達、共に戦った仲間達が数十巻を跨いで登場し、再び重要な役割を担う。敵味方入り乱れての戦いと巧みな呉越同舟がONE PIECEの物語により深みを生んでいるのは確かだ。

 

そして、このONE PIECEの魅力2点が凝縮されているのが『スタンピード』なのである。原作ではおそらく絶対に共闘することがないであろうメンバーが、ルフィに魅せられたり同じ目的のためだったりで協力するという構図。確かに原作の状況を考えると最悪の世代があそこまで1つになるのは考えにくいし、ルッチやクロコダイルがルフィと共闘する展開か今後あるとも思えない。そんな夢のような戦いを素晴らしい作画で見せてくれるのがこの映画。麦わらの一味の共闘ではなく、海賊・海軍・七武海・革命軍・CP0が一堂に会するという映画ならではのお祭り騒ぎは、正に20周年の節目に相応しい題材と言える。来年以降、これを超える作品が出来るのかと不安になるくらいの完成度。間違いなく劇場版ONE PIECEの最高傑作だ。

 

そして、この映画に何よりも彩りを加えているのはウソップの扱い。原作当初こそ、一味最弱というポジションと、嘘つきな臆病者だがいざという時には勇気を奮うという性格が魅力に繋がっていたウソップだが、2年の修行期間を経た今ではそこまでの弱さを感じなくなってしまい、私が新世界編で最もガッカリしたのもウソップのパワーアップだった。そんな彼が、バレットという最強最悪の怪物を前にあっさりと倒されるという展開は正に往年のウソップそのもの。ウソップがやられてキレるルフィ、ルフィがやられても諦めないウソップ。これ、この構図だよ! ルフィとウソップのこの構図が最高なんだよ!

 

しかもルフィとウソップの重要なシーンで初代EDの「memories」を流し、最終決戦で「ウィーアー!」を使ってくれるお膳立てのあざとさ。アニメ20周年という時の重みが物語の重厚さとの相乗効果で嫌でも感動してしまう。物語の流れはイーストブルー編のような単純明快さを醸し出しつつ、90巻に渡る物語から何十人ものキャラクターが飛び出してくる。中にはアニメオリジナルのキャラクターの姿も垣間見ることができた。

 

入場特典の10089巻には尾田栄一郎が作品に込めたテーマなんかもしっかり載せられているので、まだ観てない人で読みたい人は早めに確保するのが吉かもしれない。『ドラゴンボール超 ブロリー』で勢い重視の作風に味を占めた東映アニメーションが、今後ONE PIECEの劇場版にどう立ち向かっていくのか。20周年だからといってここまで出し尽くした感のあるお祭り映画をやってよいのか。初心者には向かないかもしれないが、ONE PIECEファンにとっては拍手で迎える以外の術はない。間違いなく劇場版ONE PIECEを代表する1作になる映画だ。

 

 

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ONE PIECE magazine Vol.7 (集英社ムック)

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