映画『ワイルド・ストーム』評価・ネタバレ感想! 適度に楽しめるちょうどいいB級ディザスター映画

ワイルド・ストーム (字幕版)

 

災害を題材にした俗にディザスター映画と言われるジャンルがある。主にB級映画扱いされることが多いが、その内容はまちまちだ。この『ワイルド・ストーム』を監督したのはロブ・コーエン。今やハリウッドの大人気シリーズとなった『ワイルド・スピード』の第一作の監督。なるほど、邦題の「ワイルド」はそこからかと納得した。要は21世紀最大のハリケーンに乗じて6億ドル強奪を目論む強盗集団と、偶然居合わせたある兄弟の戦いを描いた単純な物語なのだが、何故だかすごく面白い。VFXの迫力、ハリケーンが迫る緊迫感、気象学の博士という肩書を活かした主人公の戦闘スタイル。特筆してとんでもない描写があるわけではないが、とにかくバランスのいい映画だった。

 

 

 

 

ディザスター映画で兄弟ものとくれば、まず思い浮かぶのが『ジオストーム』だろう。人類が自由に天候を管理する気象衛星を作ったが、突如それが暴走し世界各地で次々と異常気象が起きる、という作品。衛星の生みの親である兄と政府に籍を置く弟は互いに衛星の扱いに関して反発していたが、この事件を経て兄弟の絆を取り戻す。事件の裏には政府の陰謀があり、スケールも世界中を巻き込んでいるため非常に大きい。一方でこの『ワイルド・ストーム』はあくまでハリケーンの中の出来事。通信も遮断されており保安官も実は強盗と組んでいたため、主人公の兄弟と施設のセキュリティを任されていた女性の3人は、誰の助けも借りずに戦う必要に迫られる。また、災害自体もハリケーンだけであり、それに伴って洪水は起きるものの主な脅威は強風だけである。しかし、妙な小細工をせず主人公たちがカテゴリー5のハリケーンと凶悪な強盗団に果敢に挑む姿はとても緊迫感があった。

 

 

 

ただ、兄弟ものとして観るとあまり印象はよくないなあ、と。最初に兄弟の父親が25年前のハリケーンで死亡するシーンから始まり、その後現代で兄がセキュリティ施設の電源復旧のために呼び出され強盗に巻き込まれるのだが、ここからしばらく兄は捕まったまま。弟とヒロインが必死に強盗と戦い人質を助け出そうとする場面が1時間ほど続く。この間、兄は確かに強盗に抵抗して軍人たちを助け出そうとするなどいろいろやるのだが、結局はどれも果たされず。正直兄のキャラが薄い。しかし後半、兄を助け出すも今度はヒロインが強盗に捕まり、彼女を助けるために二人が強盗団のトレーラーを追う。ここで「俺はいい兄貴じゃなかった~」などのお決まりのセリフを吐くのだけれど、正直描写不足のためいい兄貴かどうかなんてわからない。弟からも特に兄の話はなかったし、そもそも兄自身は大勢の強盗に対してよくやっていた方だと思う。むしろ「兄貴らしくなさ」は微塵も感じない。おそらく心情描写としてはここがキモだと思うので、これに気持ちがうまくついてこないのは致命的だが、それを除いても全然面白いのだから不思議なものである。

 

また、敵の強盗側も非常に魅力的なキャラクターが揃っている。ボスのコナーは殺しも厭わない残忍な性格だが、仲間の死には悲しみを浮かべる場面もちらほら。主人公たちに殺意はないが、何せハリケーンが迫ってきているのでとにかく人が死んでしまう。そんな中で一人また一人と死んでいく仲間たちに思いを馳せるシーンは印象深い。また、明らかにシステム系要因のバカップルや、保身ばかり考える保安官など、癖の強いキャラクターが脇を固め、物語を膨らませている。

 

主人公である弟の気象学博士という肩書を活かした作戦も面白い。「そんなにうまくいくか?」とツッコみたくなることは多々あるが、その馬鹿馬鹿しさが映画のカラーにうまく馴染んでいるのだ。強盗に対しひたすらホイールを投げ、強風の勢いでぶつけようとしたり、丁度いいタイミングで建物の天井を破壊し強盗をハリケーンで吹き飛ばそうとしたり(自分たちはロープで固定しているので飛ばされない)。博士というから知的な司令塔ポジションかと思いきや果敢に前線へと赴くので見ているこっちがヒヤヒヤする。頭も良くて行動力もある理想的な主人公だ。しかし兄(出番がそもそも少ない)と彼の差別化がうまくなされていなかったのは微妙なところ。兄の電気技師という職業も活かせるシーンがあればよかったのだが。

 

何にせよ、なんとなく片手間に鑑賞するには非常にちょうどいい映画。難解さもなく、程よくアクションが盛り込まれているため、満足感も異常に高い。頭を空っぽにして楽しむことのできるちょうどいいB級ディザスター映画だった。

 

 

 

 

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