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映画『マッド・ハウス』評価・ネタバレ感想! ご近所洗脳系ホラー

同名のアニメ制作会社とは当然何の関係もなく、引っ越した先の住人たちがとんでもない奴らだった!という映画。精神を痛めつけて隷属させようとするタイプの映画は結構あるが、低予算でここまで表現できているのはお見事。物語も起伏に富んでいるわけではないのに、イヤ~な感じを90分近くずっと保てているために観ていて飽きない。ちょっと怖いの観たいなあくらいの時に観るとめちゃくちゃ面白く感じるかもしれない。それくらいよくできた作品なのである。 法律事務所で働くサラは仲の悪い両親の元を離れ、一人暮らしを始める。とあるマンションに引っ越した彼女に優しく声をかけてくれる近隣住民たち。しかしサラは、ペット不可の物件なのに…

映画『ロード・インフェルノ』評価・ネタバレ感想! あおり運転撲滅映画第1弾

デカデカとジャケットに書いてあるように、「あおり運転した相手がイカれたサイコパスだった!!」というだけの作品。日本では以前に逮捕者も出たりと、何かと世間を騒がせるあおり運転だが、どうやら海外でも問題視されているようだ。本作は主人公一家が父親の実家へ出かける際のドライブで出会ったスピードの遅い車をあおってしまったことで、惨劇が始まる。映画秘宝で言う「ナメてた相手が実は〇〇でした」系の作品ともいえるだろう。 主人公であり一家の大黒柱でもある父親のハンスは、実家への出発が遅くなったことに苛立ちを募らせていた。そんな中、前方をゆったりと走行する白いバンに怒りを覚え、あおり運転をしてしまう。結果的に追い…

映画『ザ・ファーム 恐怖の食物連鎖』評価・ネタバレ感想!

またまた新しい赤ちゃんを床に叩きつける系映画の誕生です。劇場公開はなく、GEO先行でレンタル開始されたこの映画。家畜の仮面を付けた人間たちが経営する世にも恐ろしい牧場に囚われたカップルの物語で、確かに起伏があまりなく淡々としているし、やっていることは恐ろしいのにゴア描写に振り切りもしないという奇妙な映画なのだけれど、なんだか雰囲気が妙にハマってしまった。ビジュアルのセンスというか。『最後の晩餐』を模したようなパッケージに惹かれたのなら観るべきかもしれない。 弦楽器が奏でる不気味な音楽と荒野の田舎道を背景に、赤字でタイトルとクレジットが出てくる冒頭がなんとも心地いい。これから不穏な映画が始まるな…

『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者たち』評価・ネタバレ感想! 「ほぼ四人」が意味するものとは

ここ数年、個人的に満足度の高い作品が続いているクレしん映画。ゼロ年代の「大人も泣ける」路線から打って変わって、笑って泣けるファミリームービーに切り替えたのが功を奏しているのだと思う。分かりやすいストーリーにクレしんらしい狂気をスパイスとして加え、唯一無二の作品として昇華させる、近年のクレしん映画には目を見張るものがある。コロナウイルスの影響で公開が延びた今作は、『ラブライブ!』シリーズの京極尚彦監督と、『そこのみにて光輝く」様々な邦画で脚本を書いている高田亮がタッグを組む。『ラブライブ!』は未見だが、『KING OF PRISM』などにも関わっている京極監督なのである程度観る前から信頼していた…

映画『バトル・インフェルノ』評価・ネタバレ感想! バカ映画のノリから一転、恐怖のどん底へ

悪魔祓い系Youtuberのマックスくんは今日もヤラセ除霊動画でPV稼ぎ!、と思いきやなんとそこに本物の悪魔が現れて…という、もう一笑に付してしまえるようなおバカなストーリーなのに非常に陰惨で血みどろな戦いが繰り広げられていつの間にか目が離せなくなっていた。前半の笑わせるノリから一転して悪魔が現れてからの戦いの壮絶さがとんでもない。アルバトロス配給はごくごく稀に期待値をぐんと超える作品が出てくるから見逃せないのだ。 イケメン神父のマックスと、その親友で有能な裏方演出家のドリュー。出だしのヤラセ動画の最後に「チャンネル登録してね!」のお馴染みな画面が出るのも笑うし、お祓い用の布を使うと「バチカン…

映画『CURED キュアード』評価・ネタバレ感想! ゾンビを治療できるようになった世界での悲劇

最早飽和状態となっているゾンビ映画市場に一石を投じる作品が登場した。その映画を作り上げたのは初めて監督を務めるデヴィッド・フレイン。主演に『X-MEN』シリーズのエレン・ペイジを起用し、ゾンビとなった人々が治療薬によって回復した世界を描く。アイルランドとフランスの合作映画というだけでも異質だが、この斬新な設定が評判となり、日本公開時にも大きな話題になった。ゾンビ(この映画ではメイズウイルスの感染者)が治療で元通りになるというだけでもかなり異色の作品だが、元に戻った通称:回復者(キュアード)にはゾンビだった頃の記憶が残っている。つまり、人を殺したことを覚えているのだ。 物語の核を担うのは、回復者…

映画『青くて痛くて脆い』評価・ネタバレ感想! ゆっくりと堕ちていく繊細すぎる吉沢亮

『君の膵臓を食べたい』を実は観たことがないのだが、この『青くて痛くて脆い』はあらすじを聞いて「観なくては!」と思った。『キミスイ』はまあよくは知らないけど病気とかラブストーリーとか高校生とかの話でしょ、という固定観念があってどうも観る気が起きなかった。衝撃的なタイトルの真相とは!、みたいな宣伝が何か鼻についたというのもある。でも今回は大学生の話でしかもウェイ系サークルをぶっ壊してやろうぜぇ的な俺たち向けのノリだったし吉沢亮がダークな役やってるのもサイコーだったので、公開から1週間遅れてだけど観に行った。 正直まあサスペンスの皮を被った青春映画でしょと舐めてかかってたんだけど、観たら心がボロボロ…

映画『事故物件 怖い間取り』評価・ネタバレ感想! 新たなトンチキホラー見参

この映画が上映する前の予告で、「事故物件 怖いカレシ」というものがあった。クロちゃん演じる地雷カレシが相手の誕生日プレゼントにリボンで包んだ自分を送ったり、一緒にホラー映画に行くとビビッてやけにうるさかったりという、最早ホラー映画にとっては付き物のティーン呼び寄せウケ狙い予告である。恐怖と笑いは紙一重とよく言われるが、その言葉はいつしかエスカレートしていき、貞子は始球式に参加する羽目になった。そんな貞子の存在を確立させた映画『リング』も担当した中田秀夫監督の最新作がこの『事故物件 怖い間取り』。正直、ホラー映画ファンとしては中田監督が『リング』を撮れたのは奇跡くらいに思っていて、あまり信頼はし…

映画『2分の1の魔法』評価・ネタバレ感想! 魔法が淘汰された世界で描かれる兄弟の絆

3月公開予定だったはずが、コロナウイルスの影響を受けて夏休み公開になってしまったピクサー最新作『2分の1の魔法』がようやく公開。期待していた1作なのでこの5ヶ月が本当に長かった。劇場に座り爆音で聴く全力少年にもいい加減飽き飽きしていたところ。 『モンスターズ・ユニバーシティ』のダン・スキャンロン監督が、今回はオリジナル作品に挑戦。凸凹コンビが主人公という意味では前作と同じだが、今作ではそこに兄弟・家族の絆という要素が加えられている。原題は『Onward』と簡素だが、分かりやすい邦題も鑑賞後には意味が何重にも込められていることが分かる。MCU作品でお馴染みのクリス・プラットとトム・ホランドが声優…

映画『ミッドサマー』評価・ネタバレ感想! 少女が失恋を乗り越える最悪の物語

『ヘレディタリー 継承』のアリ・アスター監督最新作、『ミッドサマー』が遂に公開。あらすじを説明するのも難しいし「とにかく観てくれ!」というタイプの作品なので、一番いい宣伝文句が「ヘレディタリーの監督の最新作」という形に落ち着いてしまう。早速観てきたのだが、もうそれはそれは恐ろしいというか。アリ・アスター監督の芸術センスが抜群に光っており、もうどうしようもないのだ。よくぞこの人を映画監督にしてくれたという気持ちと、よくもコイツを映画監督にしてくれたなという気持ちがせめぎ合う。ヘレディタリーを観た人はきっともうアリ・アスターという名前を聞くだけであの奇妙な感覚に囚われるようになってしまったと思うが…