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映画『バトル・インフェルノ』評価・ネタバレ感想! バカ映画のノリから一転、恐怖のどん底へ

悪魔祓い系Youtuberのマックスくんは今日もヤラセ除霊動画でPV稼ぎ!、と思いきやなんとそこに本物の悪魔が現れて…という、もう一笑に付してしまえるようなおバカなストーリーなのに非常に陰惨で血みどろな戦いが繰り広げられていつの間にか目が離せなくなっていた。前半の笑わせるノリから一転して悪魔が現れてからの戦いの壮絶さがとんでもない。アルバトロス配給はごくごく稀に期待値をぐんと超える作品が出てくるから見逃せないのだ。 イケメン神父のマックスと、その親友で有能な裏方演出家のドリュー。出だしのヤラセ動画の最後に「チャンネル登録してね!」のお馴染みな画面が出るのも笑うし、お祓い用の布を使うと「バチカン…

映画『CURED キュアード』評価・ネタバレ感想! ゾンビを治療できるようになった世界での悲劇

最早飽和状態となっているゾンビ映画市場に一石を投じる作品が登場した。その映画を作り上げたのは初めて監督を務めるデヴィッド・フレイン。主演に『X-MEN』シリーズのエレン・ペイジを起用し、ゾンビとなった人々が治療薬によって回復した世界を描く。アイルランドとフランスの合作映画というだけでも異質だが、この斬新な設定が評判となり、日本公開時にも大きな話題になった。ゾンビ(この映画ではメイズウイルスの感染者)が治療で元通りになるというだけでもかなり異色の作品だが、元に戻った通称:回復者(キュアード)にはゾンビだった頃の記憶が残っている。つまり、人を殺したことを覚えているのだ。 物語の核を担うのは、回復者…

映画『青くて痛くて脆い』評価・ネタバレ感想! ゆっくりと堕ちていく繊細すぎる吉沢亮

『君の膵臓を食べたい』を実は観たことがないのだが、この『青くて痛くて脆い』はあらすじを聞いて「観なくては!」と思った。『キミスイ』はまあよくは知らないけど病気とかラブストーリーとか高校生とかの話でしょ、という固定観念があってどうも観る気が起きなかった。衝撃的なタイトルの真相とは!、みたいな宣伝が何か鼻についたというのもある。でも今回は大学生の話でしかもウェイ系サークルをぶっ壊してやろうぜぇ的な俺たち向けのノリだったし吉沢亮がダークな役やってるのもサイコーだったので、公開から1週間遅れてだけど観に行った。 正直まあサスペンスの皮を被った青春映画でしょと舐めてかかってたんだけど、観たら心がボロボロ…

映画『事故物件 怖い間取り』評価・ネタバレ感想! 新たなトンチキホラー見参

この映画が上映する前の予告で、「事故物件 怖いカレシ」というものがあった。クロちゃん演じる地雷カレシが相手の誕生日プレゼントにリボンで包んだ自分を送ったり、一緒にホラー映画に行くとビビッてやけにうるさかったりという、最早ホラー映画にとっては付き物のティーン呼び寄せウケ狙い予告である。恐怖と笑いは紙一重とよく言われるが、その言葉はいつしかエスカレートしていき、貞子は始球式に参加する羽目になった。そんな貞子の存在を確立させた映画『リング』も担当した中田秀夫監督の最新作がこの『事故物件 怖い間取り』。正直、ホラー映画ファンとしては中田監督が『リング』を撮れたのは奇跡くらいに思っていて、あまり信頼はし…

映画『2分の1の魔法』評価・ネタバレ感想! 魔法が淘汰された世界で描かれる兄弟の絆

3月公開予定だったはずが、コロナウイルスの影響を受けて夏休み公開になってしまったピクサー最新作『2分の1の魔法』がようやく公開。期待していた1作なのでこの5ヶ月が本当に長かった。劇場に座り爆音で聴く全力少年にもいい加減飽き飽きしていたところ。 『モンスターズ・ユニバーシティ』のダン・スキャンロン監督が、今回はオリジナル作品に挑戦。凸凹コンビが主人公という意味では前作と同じだが、今作ではそこに兄弟・家族の絆という要素が加えられている。原題は『Onward』と簡素だが、分かりやすい邦題も鑑賞後には意味が何重にも込められていることが分かる。MCU作品でお馴染みのクリス・プラットとトム・ホランドが声優…

映画『ミッドサマー』評価・ネタバレ感想! 少女が失恋を乗り越える最悪の物語

『ヘレディタリー 継承』のアリ・アスター監督最新作、『ミッドサマー』が遂に公開。あらすじを説明するのも難しいし「とにかく観てくれ!」というタイプの作品なので、一番いい宣伝文句が「ヘレディタリーの監督の最新作」という形に落ち着いてしまう。早速観てきたのだが、もうそれはそれは恐ろしいというか。アリ・アスター監督の芸術センスが抜群に光っており、もうどうしようもないのだ。よくぞこの人を映画監督にしてくれたという気持ちと、よくもコイツを映画監督にしてくれたなという気持ちがせめぎ合う。ヘレディタリーを観た人はきっともうアリ・アスターという名前を聞くだけであの奇妙な感覚に囚われるようになってしまったと思うが…

映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』評価・ネタバレ感想! 完璧な完結編でした

『デジモンアドベンチャー』の最新作が公開と聞いた時、私は不安を通り越して怒りを感じていた。デジモン世代ど真ん中の私にとって、2015年から始まった全6章の『デジモンアドベンチャー tri.』の出来は本当に苦しく、もう二度とデジモンを観られなくなってもいいと思わせたほどだった。続編でトーンがガラッと変わることや人気漫画の実写化なんかも比較的耐性がある方だと自負しているのだが、この『tri.』だけはどうしても許すことができず、第2章の時点で劇場に足を運ぶことを止めてしまった。その後、円盤化されるタイミングで3章を鑑賞。しかし、結局怒り以外の感情を持てずそのまま断念。『LAST EVOLUTION …

映画『シグナル100』評価・ネタバレ感想! どう考えてもシグナル20くらいでよかった

1000年に1人の美少女という二つ名も聞かなくなって久しい昨今だが、ようやく橋本環奈が主演を務める映画が公開した。その名も『シグナル100』。原作はヤングアニマルにて連載された人気コミック。担任教師によって、特定の行動をとると自殺してしまう催眠にかかった生徒達の惨劇を描いた作品である。 原作者の宮月新は『不能犯』の原作も務めているため、彼の作品が実写映画化されるのはこれが2度目。『不能犯』はストーリーこそ物足りなかったものの、私が敬愛している白石晃士監督だったおかげで演出面においてそれなりに楽しむことができた。しかし、『シグナル100』と『不能犯』は心理学の要素があること以外はテイストのまるで…

映画『1917 命をかけた伝令』評価・ネタバレ感想! ワンカットの説得力に呑まれる

『007 スカイフォール』などのサム・メンデス監督の新作はイギリスの実話を元にした戦争もの。前線部隊に作戦中止の命令を届けるために奔走する伝令係2人のバディムービーだ。特筆すべきは「全編ワンカット」であること。しかし、宣伝ではワンカットワンカットと謳っているが、実際にはそう見せているだけの擬似的なワンカットらしい。公式サイトにはきちんと説明されているので、予告映像しかチェックしていない観客は偽りの謳い文句に誘われたことになる。 しかし、この映画の末恐ろしい点は実際に鑑賞しても本当にワンカットにしか見えないこと。擬似だと知っていれば「あ、ここで明らかに編集入ったな」と勘付くシーンもあるのだが、ワ…

映画『犬鳴村』評価・ネタバレ感想! 中途半端な犬推しが全てをダメにした

はじめに 『呪怨』で有名な清水崇監督の最新作、『犬鳴村』を観てきた。原作無しのオリジナル映画ではあるが、有名な都市伝説を題材にしているとのこと。事前知識を全く入れたくない派なので終わった後にネットで検索をかけてみたら、Wikipediaに「全て事実ではない」と書かれていて笑ってしまった。都市伝説の内容は単純なもので、犬鳴トンネルの奥地にはダムに沈んだ犬鳴村が存在し、そこに行った者は二度と帰ってこれないというもの。オーソドックスな怪談だが、映画ではこれを物語として昇華する必要が出てくる。 公開前は正直不安であった。私は『呪怨』こそ愛しているものの、その後の清水監督の作品には愛想を尽かしており、3…