仮面ライダーゴースト感想⑤ 第19話~第24話

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『仮面ライダーゴースト』の感想記事、第5回にして遂にTVシリーズ折り返し地点まで到達することができた。第1クールで眼魂争奪戦が一旦落ち着き、タケルのタイムリミットもリセットされ、第13話からは眼魔の世界の秘密に迫っていく。登場人物も増え、第3の仮面ライダーも参戦し、物語はどんどん加速していった。

 

第19話「爆発! 絵を描く心!」

画材眼魔が登場。この眼魔は他の眼魔と異なり、純粋に絵を描くことを楽しんでいた。眼魔の世界には絵画がないようで、山下清の「~なんだな」語尾を使って筆を走らせる彼の純朴さにタケルは、彼となら友達になれるのではないかと考える。これまでの眼魔は高笑いしながら非人道的な行いを平気でこなすサイコパス的側面が強かったせいで、余計に画材眼魔がいい怪人に見えてくる。しかし、彼の丸いものを描くという能力は、対象の丸いものを抽象画のように変質させてしまうため、ある意味迷惑な敵ではあるのだ。

 

イゴールがアデルから命じられた新たな計画も始動。デミアプロジェクトと呼ばれるその計画は、今はまだ謎に包まれている。準レギュラーかと思いきやあまりに出番が少なかったビルズ社長もここで登場した。一瞬で洗脳されてしまうのだが。

 

一方でアランもタケル達とのやり取りで、スペクターを洗脳し「心の友」と呼ぶ自分のやり方に疑問を持ち始める。心など不必要と言われて育てながらも、どうやら彼には心が芽生えたようである。アランの改心は「友達の大切さに気付く」という王道な話なのだけれど、心を持たない敵と戦うゴーストの物語の中ではすごく重要な位置づけ。スペクターの出番が犠牲になってしまったものの、ここに時間をかけているのは好印象。また、この回でタケルはベンケイと心を通わせる。

 

アランの父で眼魔世界の長であるアドニス大帝も登場。祈りの間と呼ばれる空間で呪文のようなものを唱える怪しげな男だが、その正体は……。アラン一家の構図が明かされ、どんどんゴーストが面白くなっていく。

第20話「炸裂! 炎の友情!」

遂に仮面ライダースペクター=マコト兄ちゃんが復活! 2号ライダーなのに一ヶ月も出番がないのは前代未聞だった。前回に引き続き画材眼魔を守ろうとするタケル。アカリと御成からは反発されるが、それでも彼を信じてイゴールと戦う。タケルの想いは通じ、画材眼魔はスペクターの攻撃から彼を庇う。画材眼魔は瀕死の重傷を負ってしまうが、なおも攻撃を止めないスペクターに今度はカノンが立ち向かう。その想いがスペクターについていた英雄たちの心を動かし、タケルは遂にマコトを救出した。ここからの同時変身、VSネクロムがとても熱い演出。液状化というチート能力を持つネクロムに対して、タケルが気を引いている間にスペクターがエジソン魂の電気攻撃で拘束、そこにゴーストとスペクターが続けざまにライダーキック! 『ゴースト』は時たま能力バトルものとしても非常に優秀になることがある。結果として、この回でタケルはノブナガと心を繋いだことになった。

 

そして気になるのは仙人と同じ顔をした男・イーディス長官。眼魔の世界の技術者としてアドニスに重宝されているようだが、一体何者なのか。仙人とは違い全く笑顔を見せない辺りが不気味。その正体は終盤にようやく明かされ、それまでも重要人物として暗躍するのだが、さすがに正体はここでは書かないでおく。ただ、リアルタイム当時はとても気になっていたし、この辺りが『ゴースト』のピークだったと思う。

 

ようやく救出できたと思いきや、「俺の体は眼魔の世界にある」と突然言い出すマコト兄ちゃん。復活からのバトルの流れが素晴らしかっただけに、こんな唐突に次の展開を推し進めることがあっていいのだろうかと不安に駆られた。そして第21話からは眼魔の世界での激闘が描かれていく。いや、この辺りは本当に面白いんだよゴースト。

 

第21話「驚異! 眼魔の世界!」

身体を取り戻しに勝手に眼魔の世界に行ってしまったマコト兄ちゃんを追って、タケルは何とか眼魔の世界に行こうとするが、その方法が分からない。「前に1度行ったことがある」が、あれは理屈も行った意味も分からない謎シチュエーションなのでさすがにお手上げ。しかし、彼らには眼魔の友だち・キュビちゃんがいた。キュビちゃんが絵を描く時に発する力でゲートを開き、タケルは眼魔の世界に行くことに成功し、ついでにエジソンとも心を通わせることができた。

 

一方で、イゴールは新たに甲冑眼魔を人間の世界に放つ。人間の魂を集めながらも、女子供は戦闘に巻き込まないという騎士道を持つ彼女に、タケルはキュビちゃんと同じものを感じる。キュビちゃんに続いて、人間臭い眼魔の登場。アランもそうだが、眼魔とも心を通わせられるのではないかというテーマがどんどん突き詰められていく。突然眼魔たちに心が芽生え始めたのは、眼魔の世界に綻びが生じはじめたことと何か関係があるのかもしれない。これも結局劇中では語られないままだったけど。そんな騎士道すら洗脳してあっさり曲げさせてしまうイゴールの非道さが輝く回。長谷川脚本ということもあり、イゴールのねじ曲がった根性がうまく描かれている。アカリはマッドサイエンティストと呼んでいるが、眼魔の世界からすれば人間を一々気にも留めないのが普通で、やはりただの優秀な科学者なのだろう。

 

アラン一家も勢揃い。父のアドニス大帝、長男のアデル、長女のアリア、そして次男のアラン。そこにイーディス長官が加わったのが、眼魔の世界の幹部クラスというとこだろうか。アドニスはどこか理解できそうで、アリアもマコト達を気にかけており、アランも変わりつつある。しかし、長男のアデルだけは何かをしでかしそうな予感である。

 

第22話「謀略! アデルの罠!」

サブタイトルの通り、何かしでかしそうなイケメン王子、アデルが父であるアドニスへの反逆を実行に移す。言うなればテロである。しかもその罪を全て弟のアランになすりつけ、アランは大罪人として眼魔の世界を追われることになる。アランは眼魂を破壊され、肉体で行動することになるが、そこをタケルとマコトに救出される。しかし、眼魔の世界にやってきたタケルが最初に目にしたのは、カプセルに入ったタンクトップ姿の人間たち。そしてそれが次々に塵と化す光景だった。また、この際に久々にタケル殿の触れた人の過去を見る能力が発動する。いや発動した意味も分からないんだけどさ。

 

眼魔の世界は完璧な世界だというアランの言葉を信じつつも、彼のやり方に反発していたタケル。しかし、そもそも完璧などではなく人が死んでいることを知ったタケルはアランの胸ぐらを掴み激昂する。タケル殿の「生きていることこそ素晴らしい」という正義感、正直根拠は薄いのだけれど、肉体の消滅を目の当たりにするという展開が衝撃的だしタケル殿の演技も相俟ってこのシーンはとてもいい場面になっていた。そこでイーディス長官がいた眼魂の間に逃げ込み、謎のベルト型巨大眼魂を目撃するタケル。ついでに奪われていた15の眼魂を取り返すことにも成功する。第1クールであんなにも眼魂集めに躍起になっていたのに、今回のあっさり感は一体何なのか。まあそれどころじゃねえよって話なのだろうけど。

 

アデルの襲撃を受けたことで、結局マコト兄ちゃんは肉体を取り戻すことができなかった。そのため常に肉体が人質に取られているような状況で、肉体を壊されるとマコト兄ちゃん自身も死んでしまうらしい。じゃあカノンちゃんが眼魂になっていたあの状況は一体どういうことだったのだろう。いろいろ疑問は残るが、アデルから逃げる際に一旦ツタンカーメン魂の必殺技で異次元に吹き飛ばし隙を作るの、本当に最高でした。

 

反逆者となったアラン、眼魔の世界が恐ろしい場所であると知り怒りを露わにするタケル、結局身体を取り戻せなかったが物語を進める牽引力として突っ走るマコト。三者三様の在り方が面白かった回。ただ、問題もあることにはあって。この回の一番の見所、アデルの裏切りという展開がうまく伝わらないこと。こっちは眼魔世界に関しても情報が少ない中で推理するしかない状況なのに、なんだか悪そうな男が父親を裏切って何かを企てているぞ、という抽象的なイメージしか与えられないのは残念。何ならアドニス大帝も何をしているのか何を考えているのか分からないし、アランとの会話の中で「なんとなくいい人そう」と思わせてるだけ。アデルの裏切りでアランが失脚し、アドニスが殺されたという点は分かるが、そこにどういう思想の対立があったのかという具体的な話が全く出てこない。裏切り展開の衝撃というのは、ある程度視聴者との共通認識がないと表現できないものなのだ。せっかく面白そうな展開が始まるというワクワク感があったのに、何故か視聴者を置いてけぼりにしてしまった。『ゴースト』の悪い癖が出始めた頃である。

 

第23話「入魂! デッカい眼魂!」

中間フォームのグレイトフル魂初登場。命からがら眼魔の世界から帰還した3人だったが、眼魔との和解に希望を見出していたタケルがあまりの恐怖に突然怯えてしまう。これまでも、そしてこれからも仏のような笑顔で人間の命は無限大だと説く青年に訪れた突然の絶望。この回を成立させたいがためにタケル殿を一時的に追い込んだのが見え見えだが、それでも単発のパワーアップ回としてはかなりいい出来。眼魔の世界と分かり合えないかもしれないという恐怖で、「英雄の魂なんか繋げなくったって眼魂15個揃えば眼魔の世界との関りを絶てるじゃんか!」という悪魔的発想に目覚めてしまうタケルだったが、そんなエンドは英雄たちが許さない。英雄たちはタケルの元を去ってしまった。

 

しかし、復活しウルティマに変身した強敵・ジャベルに襲われるアランを命を懸けて助けたマコト兄ちゃんを見て心を打たれ、タケルは再び想いを繋ぐことを決意。その決意に呼応した英雄たちはアイコンドライバーGを形成し、タケルの新たな力となった。触れたもの全てを灰にしてしまうウルティマの圧倒的な強さと、それを凌ぐグレイトフル魂のかっこよさ。ゴーストのライダーは全員胸板が厚いので、なんだか小柄に見えるのだがそれでもアメイジングマイティやアルティメットフォームを思わせる黒金のカラー、さりげなく入れられた英雄たちの顔デザインがとてもかっこいい。所謂「全部乗せ」なフォームなのだが、中間形態かつ他のフォームとベルトが異なることもあってか、シンプルな意匠にまとまっているのも好印象。必殺技までのギミックが長すぎるのが問題だが。

 

毎年毎年というか毎週のペースで拡張アイテムを発売してきた平成ライダーが、ここにきて中間形態に眼魂と連動ギミック無しの新ベルトを持ってきたのはかなり英断だったんじゃないかと思う。単体で遊べる(しかもアイコンドライバーGは音声が豊富)良さが勝ったのだろうか。私も手に入れた当時はかなり興奮した覚えがある。各英雄を召喚し一緒に戦うことができる能力は、ジオウのグランドジオウにも受け継がれた。

 

さりげなく死んだマコト兄ちゃん、その行動に心を動かされたアラン、中間フォーム登場と2クール目総決算にふさわしい内容。前回までの眼魔の世界編が壮大な謎を提示するワクワク感なのに視聴者が置いてけぼりになってしまうという残念な一編だったが故に、この回のシンプルさが効いている。また、ウルティマが途中でパワーアップし、3クール目以降に戦うこととなるガンマイザーがタケル達の前に姿を現した。アデルやジャベルも驚いていたが、かなりの実力を誇っているようである。というか、節目節目で復活して殺されるジャベルなんなんだよ……。 

第24話「出現! 謎の戦士!」

『動物戦隊ジュウオウジャー』とのコラボ回。近年のような1時間スペシャルではなく、それぞれの番組にゴーストとジュウオウイーグルがお邪魔する形。ここで言いたいのは、コラボ回の要素がきっちり『ゴースト』という番組の枠組みに繋げられている点。いやあ本当にこの手のコラボ回は全て毛利脚本でいいです。

 

今回の怪人は眼魔ではなく、映画の宣伝のためヤマアラシロイド。そのあまりのネズミ感に反応したのがゴエモン眼魂。ねずみ小僧をとっ捕まえるぞ!と御成に憑依し、とにかく暴れまくる。これによりタケルはゴエモンとも心を繋いだ。いやまあ、全部乗せのグレイトフル魂は全ての英雄と心を繋いでからだという意見も分からなくはない。実質私も当時はそう思っていた。ただ、既にゴースト3周目の私は、「英雄の心を繋ぐ」という課題が実はかなり終盤までかかるものだと知っているので、今更もう怒る気にはならない。何よりそういった事情を差し引いてもグレイトフル魂登場回はタケルの成長譚としてとても良かったので。

 

そして眼魔に襲われるアランを助けるタケル。友であるマコトを失ったことで、この2人の関係性にも変化が訪れるのであった。

 

最後に

2クール目が終了した。中間形態の登場、眼魔世界への突入、マコトの消滅、アランの心の揺れ。様々な出来事が並行して描かれ、より人間ドラマとしての深みが増している。ただ、キャラクター描写に関してはアランの感情以外はかなり適当というか、その場その場でキャラクターが変わっているのではないかという印象を受ける。大筋のストーリーにしても、せっかくの裏切り展開が謎の多さのせいではっきりと見えてこない。全て理解した上で観ると面白いだけに、この辺りの説明不足が致命的。第3クール以降、ゴーストは本当にどうしようもない作品になってしまう(それもまた愛おしい)のだが、その片鱗が見え隠れした印象だ。

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