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映画「劇場版ウルトラマンR/B(ルーブ) セレクト! 絆のクリスタル」ネタバレ感想! TV版の総決算

 

昨年末に放送を終えたウルトラマンルーブが映画になって帰ってくる! まあこの時期に映画が公開になるのは毎年恒例なのだが、一時期氷河期を迎えていたウルトラシリーズがこうして劇場版を恒例化できているという事実がとてもありがたい。ルーブ本編についてはモヤモヤする点がないわけではなかったが、女性ウルトラマンや謎のウルトラマンの登場によって映画のつかみはバッチリ。前作ジードとの絡みも楽しみなところ。

 

 

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本編について

オーブ、ジードと2人のウルトラマンの力を組み合わせて戦うヒーローが続いたが、「ウルトラマンR/B(ウルトラマンルーブ)」では遂に現役ヒーローの2人体制が整った。しかも兄弟。ウルトラ兄弟ではなく、兄弟のウルトラマン。初っ端から2人のウルトラマンが登場するが、敵対ではなくほぼ全話を通して共闘。すれ違うこともあるものの、家族の絆が互いを支え合う。そして最後には極クリスタルの力で合体し、ウルトラマンルーブとなる。

ここ数年1人体制が続いていたので、ウルトラマンが2人というだけでだいぶ話題性のあった本作。タイトルから人気の高いオーブとの関連も噂され、武居監督が初のメイン監督を担当など、シリーズのファンの期待値も高かった。しかし、結果を出せたかどうかはまた別の話。個人的には"家族の絆"という使い古されたテーマに真摯に向き合い、新米の2人をウルトラマンとして確立させようとしたシナリオは好感が持てたが、演出や伏線には疑問が残る作品だったように思う。

ヒーロー精神の伴わない形だけのウルトラマン・愛染マコトと対比させ、主人公2人の人々を救いたいという思いを強く演出する前半。そして後半では、先代のロッソとブルが敗れたルーゴサイトに打ち勝つことで実力の面でも"真"のウルトラマンとして確立する。おそらくこの大筋がルーブのキモだったと思うのだが、肝心のカツミとイサミのキャラクターはテンプレ描写で終わってしまい、後半では主に一般論を振りかざすだけの機械的なキャラクターになってしまった。また、ルーブ最大の謎として最終話まで引っ張ったアサヒの出自についても、正体がクリスタルだったという真顔になるようなアンサーが用意されていた。

この問題には、2クールの作品で12人の脚本家が参加していることが大きく関係しているように思う。他作品でもシリーズ構成を務めた中野貴雄や小林雄次が参加してはいるが、新人が脚本を担当した回もあり、そういった回は往々にして話が進まない。しかも美剣とアサヒにばかりスポットが当たり、肝心のカツミとイサミは空気と化してしまっている。

せっかく過去作への依存度が薄い作品なのに、ロッソとブルの掘り下げが甘いというのは勿体無かったように思う。しかし、それでも随所に見られるジュブナイル的な演出と、決定的な悪のいない純粋なキャラクター達の織り成す物語には心打たれるものがあった。

 

 

 

劇場版・ネタバレ感想

まずは率直な感想を。よかった!

正にルーブの集大成と言える劇場版だった。特にカツミにスポットが当てられるというシナリオが嬉しい。TV版では野球回くらいしかメイン回がなく、そのままオーブダークとの戦闘に突入してしまったのもあって、主人公の心情が強く打ち出されるエピソードというだけである意味貴重な物語である。

 

ルーブの最大の特徴

「ウルトラマンR/B」の最大の特徴は、ウルトラマンが一般人であることである。これは第1話のサブタイトル「ウルトラマンはじめました」にも象徴されている。劇場版はカツミが自分の将来に悩む場面からスタートするのだが、そもそもこれ自体がシリーズにおいてはかなり異常事態なのだ。

他作品のウルトラマンは、大概が防衛隊に所属しているか、ウルトラマンとしての使命を全うしている。つまり、「将来どうしよう」と悩むなんて選択肢自体がそもそもない。しかし、ルーブの2人は一般人なのだ。これまで普通の人間として生きてきたし、ジードのように逃れられない運命に縛られてもいない。しかも彼らの地球にはルーゴサイト以降、1年も怪獣が現れていないのだ。

24歳のカツミは家族全員が目標に向かって進むのを見て、自分の将来に苦悩する。そんなとにに思い出したのが、友人の戸井のことだ。ゲーム会社に就職し、夢を追った戸井。反対に自分は、家族のために夢だった野球から離れてしまった(第4話)。「夢」と書かれた野球ボールを見て彼に会いにいくカツミだったが、戸井は既に会社を辞めニート生活を送っていた。そんな彼の姿に絶望し思わず声をかけるも、戸井にはもう夢を追う意志はない。むしろ、イケメンで家業もあるしいいよなあとカツミを妬むのだった。

トレギアに操られて物語の中心となるのが24歳のニートという設定もなかなか生々しい。ヒーローが誰かを励ますような回では悩む子どもを出すのがセオリーだが、カツミの心情にせまるこの劇場版はそんなこと御構い無しに現実を突きつける。

劇場版というスケールながら、話の規模はかなり小さい。登場人物は少ないし、地球規模の危機でもない。ただ、社会に恨みを持ったカツミの友人が怪物となり暴れ回るというだけのこじんまりした物語だ。だが、その内輪感こそがルーブという物語の根幹であり、"家族"の繋がりを強調することに一役買っている。

 

 

ジードの登場

毎年恒例の前作ウルトラマンとの共闘。正直これが劇場版ウルトラマンで一番楽しみな部分である。和やかな会話には微笑ましさもあるが、ヒーロー同士に接点ができるという重要な一幕でもある。

今作のリクは、時空の乱れによってペガと共にルーブの地球へとやって来てしまう。そして怪獣が現れたことにより変身して戦うのだが、やはりここはルーブの地球。「え、何あの人? 目つき悪っ」とコミカルに描かれる3人の交流に自然と頬が緩む。

そんな中、最も気にしていた"家族観"についての話が始まる。知っての通り、朝倉リクは唯一の悪のウルトラマン、ウルトラマンベリアルの遺伝子を持つ彼の息子である。ジード本編では"模造品"と言われた彼が、如何にしてウルトラマンとして確立するのかが描かれた。しかし、彼にとって唯一の家族であったベリアルは自分と相反する考え方の持ち主であり、最大の敵である。家族という繋がりを半年間強みとして訴えてきたルーブがリクとどう関わるのか、公開前から非常に興味深い部分であった。

意外にも、リクの家族の悩みに答えるのはカツミでもイサミでもなく、アサヒだった。ルーブ最終回で彼女は湊家の人間ではないことが明かされる。しかし、今でもこうして湊家の一員として過ごしているのだ。リクとカツミ達の出会いはウシオの親バカによるコミカルなものだったが、父親の愚直な姿勢も彼女にとっては"家族"という繋がりを示す大切なものである。自分の生い立ちを話すアサヒに、リクは考え方を変える。ジードとルーブ、一見異なる"家族観"を提示してきた2つの作品が一つの線で繋がった瞬間には思わず涙してしまった。

そして戦いの最中、戸井の母親を庇って変身が解けたリクは、諦めかけたロッソ達にこう言い放つ。「決して絆を諦めるな!」 家族の運命を覆したジードが、家族の繋がりをロッソ達に自覚させるアンサーに思わず唸らされた。

 

 

残念な点

全体的にはTV本編のテーマを受けて、うまく昇華させている作品だと思うのだが、やや惜しい点もある。それはウルトラマントレギアの扱いである。公式サイトでも、「その正体は敵か味方か……」と濁されている彼。鑑賞前は、こんな言い方されるってことは敵と思わせて後々味方になるパターンでしょーと高を括っていたのだが、結局味方にはならず、最終決戦でグルーブに地球を追い出されて終わる。というか、普通に倒したのだと思ったら、エンディング後にまた出てきて「まだ観てるのか?」とデッドプールさながら語りかけてきた。

映画本編でも全く出自が分からないまま。グルーブの光線を食らった時にも「これが家族の絆か」と断末魔を残したりと、使い捨ての悪役にしては妙に後を引くようなセリフが多いので、おそらく今後のシリーズに登場させる予定なのだろう。見た目からして、顔も仮面のように見えるし、カラータイマーがあるであろう胸部もプロテクターで覆われている。また、メタ的に言えば「悪のウルトラマン」の肩書を持つキャラクターはベリアル一人の方が存在感もある。察するに、次回作の2号ウルトラマン辺りのポジションではないだろうか。

確かにシリーズの今後をにおわせる重要そうなキャラクターなのだが、この映画においてはトレギアのことは何も判明しない。テレビから腕を出せる程度のことしかわからない。仮面ライダーシリーズでは、次回作や今後登場する仮面ライダーが映画でお披露目されることがあるが、ウルトラマンではなかなかない。その上、悪の親玉で諸悪の根源という配置なのだから、もう少し彼について説明がほしかったところではある。

 

あと、グルーブがまさかCGだとは思わず……。CGを嫌うわけではないし、戦闘シーンの迫力も十分だったのだけど、スーツがないことに驚いてしまった。毎年映画で出てくる最終形態にはあるのに何で今年だけ。

それと、ウルトラウーマングリージョ。可愛すぎる! いや、これ大丈夫かウルトラマン本当に大丈夫なのかっていうくらいコミカルでちょっと面食らった。アサヒに寄せすぎている。しかも回復能力以外に大した見せ場もない。大々的に宣伝していたのだからもう少し活躍してもよかったのではないだろうか。

 

 

総括

総じて言うと、とてもよかった。いや、TV版はテンポが悪い点が気に入らなかったが、ルーブ25話の物語の後日譚として見事に劇場版の尺にまとまっていた。ウルトラマンが持つ神話性や専門性を置き去りにして、徹底的に視聴者の視点に寄り添うシリーズの中でも革新的な作品だったと、ルーブ本編を見直すきっかけにもなった。しかし、神話性からの脱却を履き違えたかのようなコミカルすぎる一面も持っており、そこはちょっと暴走しすぎなんじゃないかなーと心配になる部分もあり。また、カツミがメインになることでイサミがペガなみに空気になっていたので、イサミ好きには残念かもしれない。

”家族”の物語として、過去作品や光の国との繋がりが希薄だった「ウルトラマンR/B」。早くも来年の映画での新ウルトラマンとの絡みが楽しみであり、トレギアの正体も気になるところだ。

 

 

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