ミーアキャットスペース

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映画『ザ・トランスフォーム 地球外生命体』ネタバレ感想! 『バンブルビー』のパチモンどころかただのパッケージ詐欺

 

ザ・トランスフォーム [DVD]

 

『ザ・トランスフォーム 地球外生命体』というタイトルとパッケージに堂々と屹立する黄色いロボットから、おそらく多くの人が『トランスフォーマー』や少し前に公開した『バンブルビー』を連想するかと思う。というか、それを狙っての発売だろう。パッケージには「このロボット、人類の敵か? それとも、地球の救世主か?」という文字が躍っている。『トランスフォーマー』シリーズが長きにわたりオートボットとディセプティコンの対立を描いているのに対し、この映画はロボット1体の正体がカギとなるような作品だろう。そんな風に想像するのは容易い。

しかし、狙いすぎてお偉いさんからお叱りを受けるのではないだろうかと心配になるほどの、”あからさまな”仕掛けが私たちの目を曇らせているのだ。そもそもトランスフォーマー自体B級映画的な内容を大規模な予算でやっているだけだし、それがB級演出に戻るだけだろう、と。それは大きな間違いである。この映画にはトランスフォーマー要素など一切ないし、むしろ日本のDVD販売会社(海外のB級・C級映画を多く発売しているアルバトロス)はよくもまあこの作品を『トランスフォーマー』や『バンブルビー』と結び付けたなというほどの強引さ。あまりの力技に鑑賞後は放心状態だった。

 

そもそもトランスフォーマーの語源は当然「トランスフォーム」からきている。意味は「変形させる」など。要するに、車から地球外生命体へと”変形する”彼らのことを差しているわけだが、この映画のロボットは変形すらしない。トランスフォーマーでは当然ないし、トランスフォームすらしない。しかし邦題は『ザ・トランスフォーム』。この贅沢さ。あまりのビッグネームにおそらく制作国は大慌てだろう。

まあ、実際ロボットだろうが地球外生命体だろうが変形しようがしまいが、どうでもいい。映画の中身がよければ心に残るし、酷くても心に残るが、まあなるべくなら観てよかったと思いたい。「トランスフォーマーのパチモンかあ、どんなもんか観てみるか」とわざわざレンタルしたのに実はパチモンですらないのだ。「トランスフォーマーに祀り上げられてしまった悲劇の映画」なのである。チンパンジーを総理大臣に任命するレベルのデカいミス。90分を切ったからよかったものの、もし本家よろしく3時間近くだったら私は間違いなくディスクをたたき割ってしまっただろう。90分で本当によかった。

 

宇宙船が地球に襲来し人々が次々と行方不明になる世界で、ある若者のグループがロボットを作る。思わぬ成功に喜ぶ彼らだったが、実はロボットに使われた部品は宇宙人がわざと地球に置いたものだった。突然若者たちに牙をむくロボット。果たして彼は敵なのか味方なのか――。

物語の筋としてはこんなニュアンス。ロボットや宇宙人に操られた人々に襲われ、極限状態に陥った若者たちの交流を描く。だが、予算の都合もあれど、圧倒的につまらない。POV(登場人物が撮影した映像で物語をつなぐ手法)のせいで映像は観づらいし、そもそもPOVであることに必要性を感じない。手持ちカメラの臨場感や、視点に作為的な意図が介入しないのがPOVのウリだが、この映画ではただ節約のためだけにこの手法が用いられているような印象を受ける。

しかも、ロボットや宇宙船はあまり登場しない。宇宙人(姿は未登場)は人々を操り攻撃を仕掛けてくるので、ただのトラックの運ちゃんのようなオッサンが主人公たちに攻撃を仕掛けてくる。いやどんだけ金がないんだよ……。超絶アクションもなく、ただ恰幅のいいオッサンたちに追いかけられるだけの映像が続くのはさすがにしんどい。その上、CGの予算の都合なのかロボットの登場も最小限。なんなら主役だと思ってたロボットが全く出ない。しかも出てきたところで、主人公たちを助ける役割を果たすだけで全く盛り上がらない。何が悪いのだろうと考えるとキリがないが、まあ単純に予算がなかったのだと思う。お金の大切さを知ることができた貴重な1作。

 

で、一番の驚きが、パッケージのロボットが出てこないこと。そう、このバンブルビーのパチモンみたいなロボットは映画に出てこないのだ。というか、映画のロボットと明らかに違う。こんんあにシュッとしてないしかっこよくないしみすぼらしいし……。宣伝のためには重要なキャラクターの外見すら弄ってしまう日本のDVD会社の遊び心。勝手に外見を変えられ超大作のパチモン扱いをされる悲劇の映画。制作国でどういった扱いだったのかは知らないが、これが日本独自のものなのだとしたら怒っていいはずだ。だが、トランスフォーマーと結び付けられない限り、私はこの映画の存在すら知らずに生きることになったのかと思うと、やはりこの宣伝の仕方は成功なのだろうか。

 

結末もロボットが若者たちの味方になるというオーソドックスなもの。事件後に逮捕され尋問を受ける場面と交互に進行していく『ペルソナ5』システムには驚いたが、それすらも大した働きをしていない。まさかこんな作品が海を渡ってこの島国のレンタルビデオ店に並んでいるとは。

いろいろ言いたいことはあるが、時間が短いのでサクッと観られることは確か。全く面白くないので未見の方は気を付けてほしい。既に観てしまったかたも1週間経てばこの映画のことなどすっかり忘れているはず。それほど印象の薄い映画だった。

 

 

 

 

 

トランスフォーマー マスターピース ムービーシリーズ MPM-7 バンブルビー

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