ミーアキャットスペース

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ルパパト超全集BOXが届き、改めて金額にムカついた話

 

「ルパパト超全集BOX」が遂に手元に届いた。予約開始が4月1日で、それから約3ヶ月。『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』という作品に心底惚れ込んでしまった私としては、毎年恒例となっているムック本、超全集の購入は避けられなかった。だが、情報解禁当初から言われている通り、やはりいろいろと不満が残る販売方法である。購入してからしばらくは存在を忘れていたが、先日発送メールが送られてきたことで怒りが沸いてきた。こんな販売形態はないだろ、と。

 

 

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー Blu-ray COLLECTION 1

快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー Blu-ray COLLECTION 1

 

 

 

スーパー戦隊シリーズの42作目『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』は、病的なまでのキャラクターの作り込みと緻密でシリアスな物語が話題を呼び、戦隊史上屈指の人気を誇ることになった作品。Blu-ray等円盤の売れ行きも好調なようで、シリーズとしては『侍戦隊シンケンジャー』に続いて2位だとか。要はそれほどまでに円盤を購入する層を唸らせる作品だったということである。そんなルパパトの超全集発売の報せが発表されたのは放送終了後すぐのことであった。

 

超全集とは、特撮ファンにとっては欠かせない一品、いわゆるムック本である。仮面ライダー、スーパー戦隊、ウルトラマン、ゴジラ、ガメラなど、幅広い作品群の、大概は一作ごとに一冊発売されている。多い場合は一つの作品に対して3冊発売されることもある。全ての漢字にはふりがながふられ、どのページもヒーロー・ロボ・怪人の写真で埋め尽くされている。恐ろしいのは、子供向けの書籍の皮を被っているのに情報量が他書籍の比ではない点である。劇中で明示されなかった設定や撮影に使われた小道具に至るまで、非常にきめ細かい情報が数多く掲載されており、多くの場合巻末にはキャストやスタッフのインタビューも載っている。子どもはもちろん、大人のファンまでも虜にするほどの病的なまでの作り込み。作品のファンにとってはマストな品なのである。

 

しかし、ここ数年の超全集は「大人のファンにも売れている」ということを出版社側が自覚してのことなのか、販売形態がエスカレートしてきた。以前は2000円しない程度で一般の書店にて販売されていた超全集。しかし、2009年放送の『侍戦隊シンケンジャー』では、『帰ってきた侍戦隊シンケンジャー』と題して放送終了後に番外編DVDを発売し、その付録として超全集を付けた。もちろん、単品販売はない。DVDが欲しいだけの人も超全集のセットを買わなくてはならず、その逆も然りだ。スーパー戦隊の超全集におけるこの慣習はルパパトの1つ前、『宇宙戦隊キュウレンジャー』まで続いた。

 

また、仮面ライダーシリーズの超全集も『仮面ライダーエグゼイド』にて奇妙な発展を遂げた。『仮面ライダーW』以降、放送終了後に1冊発売されるという状況が続いていたが(『オーズ』のみ発売なし。後述)、『エグゼイド』では単品販売の他に、様々な特典を盛り込んだ「超全集BOX」なるものが発売された。特典の内容は限定のDX玩具や食玩フィギュア、ヒロインの写真集や缶バッジなどなど。要するに「書籍」の体であらゆるものを付録にしてしまったのである。値段はなんと1万円。翌年の『ビルド』に関しても同様の手法が用いられ、値段は12960円。書籍扱いなので値引きはない。なお、こちらの超全集BOXに関してはすぐに売り切れてしまったため、DX玩具のみが高値で取引されていたりもする。エグゼイドとビルドが辿った超全集BOXという特典盛沢山な販売形態は、今回ルパパトでも踏襲された。しかし、ルパパト超全集問題にはもう一つ別の要因が存在する。

 

仮面ライダービルド超全集 特別版 ラブ&ピースBOX ([バラエティ])

仮面ライダービルド超全集 特別版 ラブ&ピースBOX ([バラエティ])

 

 

 

昨年、てれびくんが「てれびくんさん」というブランドを開設。その第一弾が「平成仮面ライダー超全集BOX」というものだった。平成仮面ライダー20作品目の節目に便乗し、これまでに発売されたクウガ・剣・カブト・ディケイド・フォーゼの計8冊に加え、新規に『仮面ライダーオーズ』の超全集を制作し、全9冊のセットで販売。しかし、一般書店での販売ではなく、クラウドファンディング。要は、買いたいという人が一定数に達さなければ発売すらされない仕組みだ。この完全受注生産と言う試みは、不況と言われる出版業界の新たな施策として、特撮ファン以外からも注目された。確かに、欲しいと思う人の数を事前に把握し、出版部数に無駄を出さないやり方は出版社として理想的だろう。ただ、このやり方には一つ問題がある。

 

好きなアーティストがベストアルバムを発売した時、これまでの音源は全て持っているから買わなくていいかとスルーしようとしたら、最後の1曲だけ新録だった……という苦い経験は誰にでもあるのではないだろうか。その1曲のために何千円も出すのかという躊躇い。ジャケットや特典が魅力的なこともあるが、この1曲だけを人質にとるやり方を汚いと感じてしまうのは私だけではないはずだ。そして、この「平成仮面ライダー超全集BOX」は正にそれなのである。ここでしか手に入らない『オーズ』の超全集を盾に取り、既存のものと同じ内容(表紙のみ異なる)の書籍8冊をセットで販売。私としては偶然にも対象の超全集をあまり持っていなかったこともあり助かったが、これまでコツコツと集めてきたファンはオーズ1冊のためだけに9冊セット(11880円)を購入しなければならない。「単品で発売すればいいのに!」そう誰もが思うはずだ。

 

そして、この流れが遂に悪しき方向へと歩みだす。今回発売された『ルパパト超全集BOX』は、BOX販売のみで単品なし&完全受注生産という非常に消費者を困らせるやり方だったのだ。百歩譲って完全受注に関しては文句はない。出版社側としても無駄に刷って在庫を抱えたくはないだろう。それに本家てれびくんでも宣伝しているので、メインターゲットの子ども達が書籍の存在を知らないままということもない。むしろ部数を絞られて一般発売され、書店を駆け巡ることになるよりは絶対に手元に届くやり方の方が私は嬉しい。しかし、単品販売がないということであれば話は変わってくる。

 

 

 

私の目当てはあくまでも超全集であり、超全集BOXではない。今回のBOXには、男性陣・女性陣それぞれの名場面を抑えた写真集やラバーマスコット、コースター、ポスターが付属しているが、正直物語をメインで追っていた私としては高い金を払ってわざわざ買うほどのものではないのだ。もちろんキャストの写真集にある程度需要があることは分かっているが、私は超全集が1冊あれば十分。こういった声は販売形態が発表された当初から上がっていた。別に書籍に付録がつくくらいなんだと思われるかもしれないが、超全集単品ならおよそ3000円しないくらいのところ、このBOXは14000円。つまり私は、欲しいものと関係ないところで10000円も払っているのである。更に言えば、支払い方法は申込時に郵送される振込用紙でのみ可能なため、クレジットカード等にポイントを付けることすらできない。今時、こんな恐ろしい販売形態があるだろうか。いや、通信販売が普及したこの時代だからこそできてしまう所業なのだろう。

 

いざ手元に届いてみて、その内容に愕然とした。超全集自体はこれまでのものと遜色ない出来で、ルパンコレクションや怪人までもしっかりと網羅されており、非常に満足である。しかし、各キャラクターをあしらったラバーマスコット、写真集……。文字や設定を読みたい私にとってはオマケ以外の何物でもなく、これが10000円かという思いが拭えない。確かに付録なら全然アリだが、大金を払ってまで手元に置いておきたいものではないのだ。何故、欲しいものを自分で選ぶことすらできないのだろうか。

 

ならば発売後に中古で安くなった単品を買えばいいだろうと思う人もいるかもしれない。確かに一理ある。問題は発行部数だ。今回は限定3000セットを謳って申し込みが始まり、途中で400セットが追加された。この部数が真実だとすると、世界にたったの3400セットしかないことになる。しかも多くの人はその価値を分かって購入しており、私と同様に14000円を支払っているのだ。BOXの中で最も価値のある超全集をそう簡単に手放したりするだろうか。したとしても、それを比較的安く私が購入できる確率はどれくらいだろう。絶対に逃したくない私にとって、こうするしか方法はなかったのだ。

 

現在てれびくんさんでは『トランスフォーマー』や『新幹線変形ロボ シンカリオン』のクラウドファンディングが行われている。こちらもルパパトと同様、超全集に様々な特典を付けて販売するというものだ。確かに、売値も自由に決められる上に売れ残りを出さなくて済むこのやり方は出版社側として非常に合理的かもしれない。だが、ただ書籍だけを望む消費者にとってラバーマスコットなどが本当に必要なのか改めて考えてみてほしいし、逆もまた然りである。出版業界に生き残っていてほしい気持ちはあるが、何もこんな汚い手法を取らなくてもいいのではないだろうか。多くのクラウドファンディングでは、寄付する金額によって報酬にも段階が設けられている。例えば映画制作なら、最も安いコースはクリアファイルなどの贈呈、次がDVDやBlu-rayなどが贈られ、最後は映画に出演する権利やキャストとの記念撮影など。要は消費者のニーズやお財布事情によって金額と報酬を選ぶことができるのだ。

 

しかし、てれびくんさんのやり方は今のところどの商品でも1種類のみ。単品発売も可能なはずだし、作品のファンは一般価格より数百円高かったところで購入するはずだ。それなのに不要な特典で値を釣り上げ、消費者はそれに従うしかない。言わば出版側の職権濫用である。おそらく現在放送中の『リュウソウジャー』もそのまた次の戦隊も、更には仮面ライダーも、全ての超全集がこの販売形態になってしまうのだろう。特撮ヒーロー番組は時代を経て、様々な層のファンを取り込むことで成長を続けてきたコンテンツである。それなのに、作り手側がその自覚なく全てのファンを一緒くたにしてしまうようなこのやり方。書籍が欲しい人、俳優陣の写真集が欲しい人、デフォルメされたラバーマスコットが欲しい人、これらは区別されるべきものなのに「ルパパトファン」という括りだけで一纏めにされてしまうのは非常に惜しい。そういった住み分けができていて様々な楽しみ方ができるからこそ息の長いコンテンツなのに。

 

くどくど言っても仕方がないので、今後小学館にお客様の声として投稿するようなことがあれば、てれびくんさんをボロクソに言ってやろうと思う。