仮面ライダーゴースト感想④ 第13話~第18話

 

今回は第13話~第18話までの感想。1クール目で英雄眼魂集めが終わり、タケルの99日のタイムリミットもリセットされた。ここからはまだ持っていなかった眼魂が登場し、眼魔の世界の謎に迫っていく。

 

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第13話「豪快! 自由な男!」

前後編の前編。長正という男に龍馬眼魂が憑依し、そこに出会ったタケルは長正と父の薩之進の二人を和解させる薩長同盟を取り成すことになる。思えばゴースト名物「ゲストに英雄が憑依」もこの回からである。今回は長正役の役者さんのルックスと演技力でなんとか龍馬っぽいかどうかは置いといて貫禄があったのだが、その後大量生産されるにあたり一気に質が落ちていき、迷走してしまう。せめてレギュラーメンバーに憑依すればいいものを何故ゲストのオジサンたちばかりに憑りついてしまうのか。

 

第12話で父の龍に「英雄の心を繋げ」と言われたタケル。龍馬眼魂を見つけ、彼に心をつないでくれと頼むのだが、あっさりとキモイと言われてしまう。この辺の純粋さがタケルらしいし、そこに偉大な野望を持った龍馬を絡めてタケルが目標を設定する展開に持っていくのも毛利脚本らしい。また、タケルを殺した刀眼魔が復活。成長したタケルは刀には電気だ、とエジソン魂であっさりと攻略するのだが、刀眼魔が復活したことも実は眼魔の正体の伏線になっている。この設定を小出しにする手腕に関しても毛利脚本は一流。

 

そしてこの回ではゴエモン魂が登場。既に御成が拾っていたゴエモン眼魂を用いる形。メインが龍馬なので、まあゴエモンと心を繋ぐのが後回しにされても仕方ないか。闘魂ブースト魂での初のゴーストチェンジ、サングラスラッシャー逆手持ち、月夜での戦いなどなどアクション的な見どころもたくさん。それにしてもやっぱり引力を操るニュートンや電気を操るエジソンに比べると、ゴエモンが武器逆手持ちだけでは地味な気がする。ゴエモンが逆手持ちだったかどうかも怪しいし。そういう意味では最も特徴のない英雄眼魂かもしれない。

 

第14話「絶景! 地球の夜明け!」

リョウマ魂初登場。リョウマとの出会いを経て、タケルは「みんなと笑える世界を作りたい」という目標を見出す。確かに根拠のない正義感や、生き返るという身勝手な目標だけでは1年間持たないのは確実なので、こうしてタケルが眼魔と戦うのを「自分の目的を邪魔する奴」に設定したのはいいこと。まあ、端的に言えば人々の笑顔のために戦うという王道ヒーローなだけなのだが。

 

一方でアランは眼魔の世界で兄であるアデルに接触。アデル曰く英雄眼魂に願いを叶える力があることは知っていたが、それはどうでもよく、今は別の目的を優先すべきだという。また、眼魔の世界のためにはタケルの世界の人間たちが必要だということも示唆された。これは今後明かされることですが、眼魔の世界の存続のために人間の魂が必要になってくる、ということ。その理由でタケルとアランがまた一悶着あるのだが、それは後の話。やっぱこうやって伏線を仕込んでいく手腕は毛利さん本当に脱帽。今回はスペクターがフーディーニ眼魂を使えないという小ネタもあり。

 

リョウマ魂に変身し、敵を討つためにゴーストは遂に宇宙へ進出。そもそも死んでいるのでフォーゼのような打ち上げ機構も必要ない。ただ、リョウマ魂もあまり面白味のないフォームで、強いて言えばサングラスラッシャーを銃モードに変形させるくらい。ガンガンセイバーと違い、サングラスラッシャーはガジェットをくっつけるシステムではないので、どうしても変化に乏しい。しかもゴエモンやリョウマは特殊能力者ではないので。いや、エジソンもニュートンも能力者じゃないんだけどさ…。

 

第15話「苦痛! 頑固な脱出王!」

久々の、というか実質初のスペクター回。前回でせっかく持っているのにフーディーニ魂を実はマコト兄ちゃんは使えなかったことが明らかになった。復活したジャベルにカノンを人質に取られ、マコトは遂にフーディーニ眼魂を発動させる。タケルが英雄たちと心を通わせようと頑張るのと同じように、マコトもまたフーディーニとの絆を深めるという重要な回。でもやっぱ「俺に力を貸せ!」とか言ってる時点でそりゃアウトだよマコト兄ちゃん。カノンを助けたいという思いと、鎖を巻きつかせながらフーディーニが操るバイクと戦う姿に心を打たれたフーディーニがついに折れ、スペクターはフーディーニ魂に変身。マシンスペクターが変形して背中に合体し、スペクターは飛行能力を手に入れた。奇術師のフーディーニが何故バイクと合体するのか、何故飛ぶのか、その謎は明かされていない。結局マコト兄ちゃんを鎖で縛ったのが唯一のフーディーニらしさだった。

 

この回は演出もとてもよくて、1戦目ではジャベルの猛攻に勝てず土に埋められてしまうのだが、修行を経た2戦目では同じく瓦礫に埋もれてもフーディーニの力で脱出する。この対比演出は監督なのか脚本なのか分からないけど、ワクワクしてしまった。あと、純粋にフーディーニ魂のビジュアルがすごくカッコイイ。パーカーと顔を変えただけのゴーストチェンジは感心こそするものの、心は踊らなかったのだが、フーディーニ魂はバイクを背中に合体させるせいか強化フォーム感が増している。グンダリとの戦いでバイクから鎖を出して相手を固定、体からバイクを外してライダーキック! の流れも最高。スペクターの中間フォームと言ってもいいくらい。そんなに出番がないのが玉に瑕。

 

そしてこの回では遂にフミ婆が登場。アランのエピソードに必要不可欠なたこ焼き屋のお婆さんである。アラン英雄伝第1章では若かりしころの姿で既に登場していた。

 

第16話「完璧! 白い仮面ライダー!」

とうとう第3の仮面ライダー、ネクロムが登場。変身するのは長らく暗躍してきたアラン様。2号ライダーのスペクターの登場は例年より早かったが、ネクロムは比較的いつも通りのペースで登場した。英雄眼魂を無理矢理従わせるゴーストチェンジ、無敵の液状化能力、ゴーストやスペクターとは異なる白い素体、目薬モチーフの点眼変身ブレス・メガウルオウダーの機械音声。どれをとってもサイコ~~~~!!となる仮面ライダーである。液状化といえばバイオライダー、その他ウィザードのウォータースタイルなんかもやっていたが、ファンの間では最強の能力と謳われている。ネクロムの液状化には制限があるようで、全身に走るチューブの中身が尽きると、能力を失ってしまうようであった。しかし、それも素体眼魔を吸収することで回復できる。攻撃は当たらないし英雄眼魂まで従えてしまう強さ。サブタイトルの「完璧!」に偽りはなかった。弱点があるとすればメガウルオウダーという名前だけだが、眼魔は目玉など丸いものを崇拝しているので、目玉を守ってくれる目薬も信仰の対象になるのかもしれない。

 

決定的なのはタケルとアランの正義感の違い。詳しくはまだ書かれないのだが、アランが人間の世界を攻撃するのは「この世界を私たちと同じ世界にするため」で、それは決して悪意から生まれる行動ではないようである。自分の世界の在り方こそ至高だと信じている彼にとっては、体を持つ不便な人間たちを理解することができない。ならば、自分たちと同様の存在にする方が彼らにとっても幸せだろうという理屈。悪役っぽいことは確かだが、最終目的は人を傷つけることではなく、救うことである。異なる価値観を持った相手にタケルは一体どう接していくのか。

 

第17話「絢爛! 幻の女王!」

ヒミコ魂登場、イゴール登場、そしてスペクター一時退場、の回。リョウマに続き再び英雄眼魂がゲストキャラに憑依。ヒミコが憑依した日野美和子は、その力で次々と眼魔が現れる地点を予言。「切り裂きジャック」を模したナイフ眼魔の演出に長谷川脚本感が滲み出ている。今回はヒミコがぶっ飛んだキャラではなかったことと、憑依相手が女性であったことで何とか事故は免れた。むしろ美和子の方がおかしなキャラだったのも一因。イゴール達のせいで魂を次々と抜かれた女性たちは、魂だけの存在となり操られタケルを襲う。それをヒミコ魂で救出するのだが、ヒミコにそんな力はあったのだろうか。百歩譲って予言や霊視は許すが、魂を解放なんて言われるとちょっと無理がある気もする。まあ、今更だが…。

 

しかし、ヒミコの気配を感じ取ったニュートンがタケル達から逃げてしまう。この話は前後編にもなっており、二人が相容れない存在であることが、アカリと御成の関係性とリンクしているのも面白い。初登板のサブライターならではの、ゲストキャラ肉付けがよく活きている。マッドサイエンティストのイゴール登場により、眼魔とアカリに因縁が生まれる構成も見事。イゴールのザ・悪役という演技も実に長谷川脚本らしい。一度負けたアカリが不知火を改良し、眼魔にダメージを与えられるようになるのだが、結果は不発。あっさりと魂を奪われてしまう。そこでアカリを侮辱するイゴールに対し、御成が怒りをぶつけるシーンは見事。これの対になる構成が18話で観られるのもいい。

 

残念なのはマコト兄ちゃんの一時退場。スペクターを友だちと言い張るネクロムにより、ゴーストドライバーにネクロム眼魂を入れられネクロムスペクターにされてしまう。言わばアランの言うことならなんでも聞く傀儡である。こんな存在を友だちだと言い張る辺り、アランがどれだけ歪んでいるかが分かる。しかし復活が一ヶ月先なので、マコト兄ちゃん役の俳優に何かあったのではないかとも勘ぐってしまう。しかもこれのせいでカノンはずっと兄を探し続ける羽目になるのだ。せっかく兄弟が再会できたのにこんな悲しい話はない。アランの悪役ムーブがどんどん極まっていく。

 

第18話「逆転! 神秘な科学!」

前後編の後編。引き続きアカリと御成、ヒミコとニュートンの物語が展開される。そんな中タケルは突然眼魔の世界にワープし、赤い空と巨大なモノリスを目撃。すぐに元の世界に戻ってくるのだが、眼魔の世界に興味を持つようになった。この時何故タケルが眼魔の世界にワープしたのか、最終回まで結局明かされることはなかったのが残念。タケル殿は不思議な力をたくさん持っているのだ!

 

ニュートンが逃げ出したのは科学の及ばないヒミコと対立していたためだった。英雄とはいえ人間、好き嫌いもあるのだろう。それを和解させるのもタケル殿の仕事なのである。英雄と心を通わせるはずがワガママな英雄の説得までしなくてはならないとは。というか実在する偉人をいじけたキャラにするのはいいの?

前回とは反対に、今回はアカリが御成を評価する回。御成の魂の純度が低いと言われるの、全く根拠はないのに何故か分かってしまうのが面白いのだが、その後のアカリの言葉はグッとくる。サブキャラクターがこうやって育っていくのも仮面ライダーシリーズならでは。ただ、『ゴースト』に関してはもうこの回が最後ってくらいライダー以外のキャラクターが薄くなるので……。ある意味貴重な回かもしれない。

 

イゴールは自分で変身までしてしまうキャラクター。これにより強大な戦力はネクロムだけではなくなった。マコトの過去が挿入され、アランが10年前と容姿が変わっていないこと、100歳以上であることが明かされる。勘のいい人は眼魔の世界がどういう仕組みなのか既に気づくかもしれない。私はもうゴースト3周目なので答えを知っているのだが。

 

最後に

今回まででタケルは、ムサシ・ロビンフッド・ニュートン・リョウマ・ヒミコと心を繋げることに成功。何をもって心を繋げるというのかは不明だが、とりあえず英雄眼魂の中に招待されるのが1つの条件らしい。とにもかくにも残る英雄は10人。

この6話の中では15話は話もアクションもレベルが高いし、16話のネクロムの無敵感もカッコイイ。その他にも今後の伏線が仕込まれていて3周目の私はニヤニヤしてしまった。ここからは怒涛の眼魔世界編が展開されていき、深まってきた謎のいくつかも明かされる。それ以上に更なる謎が増えてしまうのだが、それでもスピード感と勢いがゴーストをより高みへと導いてくれる。

 

 

 

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