ホラー映画『シライサン』評価・ネタバレ感想! 乙一によるJホラーの再構築

日本のホラー映画と聞いて、『リング』や『呪怨』を想起する人は圧倒的に多いと思う。『テケテケ』とか『着信アリ』とか『ノロイ』とか、有名作や話題作はたくさんあるけれど、それでも日本のホラー映画は貞子と伽椰子の呪いから未だに解き放たれないでいる。この2作が傑作であることは揺るがないが、それでも現代的な視点を持ち込むとやや古い。貞子のキモである呪いのビデオなんて、今の子ども達はあの黒い長方形の物体を観てもなんだか分からないのではないだろうか。そのことには作り手も自覚的で、昨年公開された『貞子』では、Youtuberの撮影した動画に貞子が映り込んだことから呪いが始まる。「ビデオを観た者は死ぬ」から「撮影…

映画『カイジ ファイナルゲーム』評価・ネタバレ感想! 藤原竜也との再会にそぐわない退屈なゲーム

実写版カイジが9年ぶりに完結編として復活。原作者の福本先生が考案したゲームをもとに、映画オリジナルの物語が描かれる。「藤原竜也が出演する実写化映画は傑作」とまで言われてしまうほど、漫画の実写化映画の金字塔となったカイジシリーズ。令和の時代に再臨した彼は相変わらずのクズ&天才ギャンブラーだった。我々日本人にとって、藤原竜也があの格好で「汚ねえぞ!」と叫んでいるのは最早様式美である。底辺の人間が、自分たちを見下す金持ち達にギャンブルで勝利する爽快感、そして各ギャンブルが生み出す緊張感が見物のこの映画だが、これまでの2作に比べると、爽快感も緊張感も薄かったかなあと感じた。それはこの物語のスケールがと…

2019年ミーアキャットスペースで読まれた記事ベスト10

あけましておめでとうございます。 おかげさまで、当ブログ・ミーアキャットスペースは開設から9ヶ月を迎えました。と言ってもマイペースな更新なのて1ヶ月以上サボっていた時期もありましたが…。 そんなこのブログ、当初は鑑賞した映画の感想だけでやっていくつもりでしたが、いつの間にか特撮だったりアニメだったりと雑多になっていき、私が観た映画・番組、読んだ小説・マンガ、何でもありになってきています。ガチガチにコンセプトを決めなくていいのは個人ブログの強みですね。好き勝手書いて人から反応がもらえるのも嬉しいです。 今回は2019年にミーアキャットスペースで読まれた記事ベスト10をご紹介します。正直、こんな弱…

映画『パラサイト 半地下の家族』評価・ネタバレ感想! ギャグによって巧妙に観客に寄生していくパラサイト映画

この記事は内容のネタバレ・結末に触れています。未見の方は注意してください。 ポン・ジュノ監督の名前と評判は知っていたのだけれど、恥ずかしながら過去作は1度も観たことがなく…。最新作が公開されると知り、敢えて過去作を観ずに先行公開に飛び込んだところ、これが大当たり。むしろこれまで監督の映画に触れてこなかったことを後悔するばかりであった。 宣伝ではネタバレ厳禁とされているし、映画の前にはご丁寧に監督から「ネタバレしないでね」とコメントまであるのだけれど、決してネタバレが映画の魅力を貶めることにはならない。もちろん何も知らない方が楽しめるが、知っていても十分引き込まれる映画だと思う。それほどまでに内…

映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』評価・ネタバレ感想! A組の活躍に湧き、ラストに絶望する

大人気漫画『僕のヒーローアカデミア』が2度目の映画化。前作は、デクとオールマイトの共闘という原作では不可能となってしまった展開で観客の度肝を抜いたものの、お話としてはごくごく普通のジャンプ原作アニメの映画化といった感じで、正直そこまでの興奮はなかった。元々ヒロアカにぞっこんという程のめり込んでもいない人間なので、どうしても斜めに見てしまうのだが、いやあ今回『ヒーローズ・ライジング』はやりやがったな~という思いです。堀越先生、本当に盛り上げ方が巧い。ジャンプ漫画が映画化することの意味をしっかり理解している。前作のラストはひたすら興奮していたけど、今作の最終決戦には物悲しさがある。入場特典のインタ…

映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』評価・ネタバレ感想! 邦画最高峰のアクション映画!

2019年もいろいろありました。新元号が発表され、平成が終わり令和が始まる。その変化により、「平成ライダー」の歴史に幕が下りるのも必然のこと。8月に平成ライダーは終わりを迎え、9月1日から令和ライダー第1作目『仮面ライダーゼロワン』がスタートした。と言っても毎年仮面ライダーを観ているこちらからすれば何が変わったというわけではなく、単純に括りが新しくなっただけ。でもこれまで仮面ライダーを観てこなかった人、気になってはいたけどどれから手をつけていいか分からなかった人にはとても良い入り口だと思う。やけに宣伝した「令和ライダー1号」という肩書きは新規層を取り込む意味が大きいのかもしれない。とにもかくに…

悪いスーパーマンという設定だけは満点のグロ映画 映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』評価・ネタバレ感想!

2000年にX-MENの映画が公開され、その後『スパイダーマン』、『ダークナイト』によってヒーロー映画はどんどん重苦しくされていった。その暗雲を吹き飛ばすかのように出現したMCU第1作『アイアンマン』は見事な成功を収め、計画通りにヒーローを集結させた『アベンジャーズ』が大ヒット。今年公開された『アベンジャーズ エンドゲーム』は歴代興行収入第1位を記録し、大御所映画監督が「あれは映画じゃない」と発言する事態にまでなった。ヒーロー映画を認めない人もいるだろうが、映画界としては見過ごすことのできないジャンルである。とはいえ、ヒーロー観というのは既に飽和状態で、アベンジャーズやジャスティス・リーグ、ヘ…

純度120%! 驚異の実写化! 映画『地獄少女』評価・ネタバレ感想!

大人気アニメ(漫画)の『地獄少女』が実写映画化と聞いた時は歓喜と不安でいっぱいだった。そして、監督が白石晃士監督だと聞いた時、不安は一気に消え去りただ公開日を待つ日々が始まった。小学生時代に原作を観ていた私だったが、2期以降は全く観ていなかった。そのため、映画に間に合うよう取り急ぎAmazonビデオで4期まで全84話を完走。以前に実写化を果たしている連続ドラマの方は未見。公開日前日まで地獄少女に入り浸る生活だったので、アニメとの違いにいささか戸惑うこともあるかと思っていたが、なんと全く違和感のない作りであった。さすがは白石監督。 この白石晃士監督にも言及せねばならない。私が初めて観た作品は白石…

設定は爆死だがアクションは一流 映画『ターミネーター ニュー・フェイト』評価・ネタバレ感想!

「『ターミネーター2』の本当の続編」と謳われた本作。2003年の『ターミネーター3』、2015年の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』に続く、3作目の『ターミネーター2』の続編である。つまりターミネーターシリーズは3作目を境目に3つに分岐しているのだ。非常に紛らわしい。それというのも興行収入の不調が原因で、3部作を予定してたけどスタートでコケたからやっぱりナシでとなってしまっているのである。そして、今作『ターミネーター:ニュー・フェイト』も新たなるシリーズの幕開けとして制作された。しかし、やはり収入は芳しくなく早くもシリーズ存続の危機に立たされているらしい。私が観た回は長らくシリーズを愛し続…

母の殺人に人生を蝕まれた子どもたちの物語 映画『ひとよ』評価・ネタバレ感想!

愛する子どもたちを守るため、DV夫を殺害した母親が15年ぶりに帰ってくる。しかし、その「一夜」の出来事は決して「父親の暴力からの解放」だけを意味するものではなかった。人殺しの子どもというレッテルを貼られて生きてきた3人は、帰還した母親とどう向き合うのか。 白石和彌監督らしい、息の詰まるような緊張感の中で変質してしまった家族模様が描かれる。佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子。たった一夜の出来事で人生が大きく狂ってしまった彼らの物語は、ヤクザから足を洗った男の悲劇と見事なコントラストを描き、呪いにも似た「家族」という関係性に、一先ずの終止符を打つ。 原作は劇作家の桑原裕子の脚本。そのせいもあって…