"meeadmin"

映画『スペシャルアクターズ』評価・ネタバレ感想! 逃れられない『カメ止め』の呪縛

『カメラを止めるな!』で一躍時の人となった上田慎一郎監督の最新作、『スペシャルアクターズ』を観た。結果から言うと、なるほど上田監督ってこういう作風なのねと勉強になったというか、どうしても『カメ止め』と比較してしまう内容であったと思う。冒頭オーディションのシーンで監督らしき男性に叱責されるのも、緊張すると気絶してしまう主人公が、スペシャルアクターズとして役割を演じ切ることで宗教団体を壊滅に追い込もうという話運びもどうも既視感があった。これを上田監督の作風ととるか、前作の焼き回しととるかでこの映画の見方は変わってくる。 『カメ止め』がヒットした要因に関しては様々な声が上がっているが、端的に言えばほ…

映画『マレフィセント2』評価・ネタバレ感想! おとぎ話から脱却した慈愛の魔女の物語

『眠れる森の美女』に登場しオーロラ姫に呪いをかけるヴィラン・マレフィセントが実は悪人ではなかったという大胆な解釈を、アンジェリーナ・ジョリーの凄味のある演技と強引な展開の力業で大成功させてしまった第1作『マレフィセント』に続き、ついに2作目が公開。原題は『MISTRESS OF EVIL』という副題がついているが、邦題はストレートに『マレフィセント2』。どちらにしても、続編であることに変わりはない。重要なのは、『眠れる森の美女』を下地に作られた1作目と違い、『マレフィセント2』は完全にオリジナルストーリーであること。映画のセリフにある通り、『眠れる森の美女』の物語ではなく、おとぎ話からも脱却を…

映画『楽園』評価・ネタバレ感想! この映画に犯人を求めてはいけない

『64』の瀬々敬久監督が吉田修一の『犯罪小説集』の短編2編を原作に傑作を作り上げてしまった。少女を殺したとされる容疑者の男(綾野剛)、失踪の直前まで友だちと一緒にいたことで罪悪感を抱えてしまった少女(杉咲花)、故郷の村を養蜂で立て直そうとするも住人から疎外されていく男(佐藤浩市)。三者三様の苦しみと決意が閉鎖的な限界集落を舞台に展開していく。瀬々監督の作品も吉田修一原作の作品も初めてなのだが、重苦しくて救いのない空気感にどんどん引き込まれてしまった。私は都会育ちのゆとり世代なので、田舎というものにあまり馴染みがない。同級生の言う「うちの地元田舎だからー」は多少の田畑があれば根拠として成り立って…

『ウルトラマンタイガ』前半(第1話~第13話)評価・感想 ウルトラマンが3人いる必要性を感じたい

既に第14話放送後なのだが、1クールを終え一区切りついたところで『ウルトラマンタイガ』前半(第1話~第13話)の感想をまとめようと思う。令和初のウルトラマンで、あのウルトラマンタロウの息子が主人公。その上タイガの他にタイタスとフーマ、合計3人のウルトラマンが主人公のヒロユキに憑依するという斬新な設定が話題を呼んだが、果たしてその試みはどうだっただろうか。 1話の冒頭からニュージェネレーションとトライスクワッドの面々がウルトラマントレギアに倒されてしまうという衝撃の展開。トレギアは『劇場版ウルトラマンルーブ』にも登場していたが、その時はロッソ・ブル・グリージョが合体したウルトラマングルーブの踏み…

本を馬を犬を駆使して生きようと藻掻く男の生き様 映画『ジョン・ウィック:パラベラム』評価・ネタバレ感想!

失礼な話ではあるが、人が必死になって生きようとする姿がどこか滑稽に見えることがある。この『ジョン・ウィック:パラベラム』にはそういう瞬間が何度も訪れる。思い返せば、1作目の時点で愛犬を殺された男の復讐劇と宣伝され、なんだそれと可笑しくなってしまった記憶がある。実際には最愛の妻を病気で亡くした失意の男が、妻からの最後の贈り物である愛犬を殺されたという背景があるのだが、確かに「犬を殺された男の復讐」も間違っていないのが面白い。しかし、そんなふざけたスタートから繰り出される物語は非常に重苦しい。妻を失い、犬を殺され、車を奪われた元最強の暗殺者が本気を出して殺しに向かってくる。当時話題にもなった『ドン…

轟と村山の活躍に大感動! 映画『HiGH&LOW THE WORST』評価・ネタバレ感想!

完結したはずの『HiGH&LOW』シリーズの新作はまさかまさかの人気漫画『WORST』とのコラボ作品だった。発表された当初、私を含めたファンはかなり驚いたものである。始まりはEXILE HIROのプロデュースによるEXILE TRIBEファンのための作品だったはずが、豪華なキャスト陣と、彼らが繰り広げる常軌を逸したアクション、複数のキャラクターが入り乱れる壮大な物語が幅広い層から支持を得て、ハイローという一ジャンルを築いた。かく言う私もハイローを観るまではEXILE系のアーティストなど全く見向きもしなかった人間である。それが今ではドラマやバラエティで見かける度にコブラだヤマトだと大はしゃぎして…

ウルトラマンタイガ 第11話~第13話 ざっくり感想

放っておいたら3話分も話が進んでしまったので第11話~第13話までの感想をまとめて。 これまでの感想はこちらから。 www.meerkatinspace.com 『ウルトラマンタイガ』第11話・第12話は、小林弘利脚本と辻本監督による前後編。パゴスとギマイラ、懐かしの怪獣が大暴れする1クール目のクライマックス。タイガが始まってもうそんなに経つのかと思うと感慨深い。「次の主役はタロウの息子」と報道されたのがつい昨日のことのように感じる。 1クール目クライマックスというと、近年では物語に一区切りつくこともあり、印象的な回が多い。『オーブ』はマガオロチ回、『ジード』はペダニウムゼットン回、『ルーブ』…

前作との差別化はバッチリ 映画『ヘルボーイ』評価・ネタバレ感想!

1994年にアメリカのダークホースコミックスから刊行されたマイク・ミニョーラの作品、『ヘルボーイ』はこれまでに2度映画化されている。1作目は2004年の『ヘルボーイ』。後に『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞を受賞することになるギレルモ・デル・トロが監督を務め、その独創的なデザインや演出、そしてコミックらしいアクションと繊細なラブストーリーが評判となり、大ヒット。2008年に2作目の『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』が公開された。こちらも1作目の正統続編とあってアクションやCGのクオリティも高まり非常に面白い1作。1作目で完結したと思われたヘルボーイと恋人リズの仲が再び描かれる。思え…

原作を実写で追体験! 実写化映画『惡の華』評価・ネタバレ感想!

世の中には2種類の人間がいる。漫画『惡の華』を読んで気持ち悪いと一蹴する人と、嗚咽を漏らして泣き崩れる人である。私は後者の人間で、映画を観るにあたりもう何度目か分からないほど読んだ原作を改めて開いたところ、またも涙を流してしまった。思春期の鬱屈した感情と、自分が空っぽだと気付いてしまう無力感。共感できる人がいるのと同時に嘲笑ってしまう人がいるのも無理はない作品である。私自身、原作をリアルタイムで楽しんでいた高校時代は周りの人間がバカに見えて仕方がなかった。リアル春日(中学生編)である。しかし、社会人になって読んだ原作はまるで別物だった。春日が大人の階段を上っていくステップが自分と重なり、高校生…

ジュブナイルSFの新たな傑作 映画『HELLO WORLD』評価・ネタバレ感想!

伊藤智彦監督のことも野崎まどのこともほぼ知らず、そもそもアニメ映画自体あまり観ないのだが、予告の雰囲気でなんだか面白そうだなあと思い鑑賞した本作。メインキャラに声を当てているのは北村匠海、浜辺美波、松坂桃李の人気俳優3人で、挿入歌に若者に人気なofficial髭男dism、エンディングはOKAMOTO'Sというアニメファン以外の層にもアプローチをかけた作品で、私の隣に座っていた女性は挿入歌の時に首を振ってリズムをとっていたため、アーティストのファンや俳優のファンにとっても見逃せない作品だったのだろう。物語の構造や設定も10年後の自分が主人公の前に現れて…という至ってシンプルなものと思わせて、実…