ミーアキャットスペース

主に映画、ドラマ、漫画などエンタメの感想・考察をだらだら書きます。

【戒め】普段松屋やマックしか食わない人間は軽い気持ちで個人経営の店に入ってはいけない

数ヶ月前、今月で大学を卒業する私にあるメールが届いた。

「よかったらご飯でもどう?」

2年前に大学を卒業したサークルの先輩からである。先輩と言ってもサークルに入ったタイミングは私と同じなので、特にお世話になったというわけではない。今は実家の静岡から職場に通っている先輩が、出張で都内に来ているというのだ。で、帰る直前のタイミングにはなるがご飯でもどうか、と。ここまで読んだ人は、私が普通に快諾すると思うだろう。久々に顔を合わせた先輩との食事の時にこんなことがあったんだよーという日常レポートを読む気満々の方もいたかもしれない。ごめん。快諾は、しない。表面的には「ぜひ!」とメールを送ったが、送信した時の俺の目つきを見たら凶暴なヒグマも背を翻しダッシュで逃げ、恐怖に怯え森の中で爆発四散するだろう。

 

というのも、この先輩は人間性に問題がある。ストーカー気質というか、何かしらの精神疾患を患っているのかと疑いたくなるほど神経質で人の気持ちを考えられない人間なのだ。先輩は男性で私も男なのだが、妙に気に入られてしまった私は彼が卒業して以降も何度かLINEでやりとりをしていた。

その時のやり取りは既に消してしまっているが、一例としてはこんなものである。

『この動画を知ってる? 知らなかったら面白いから見てみて。卑猥なので一人の時に見ることをオススメするよ(URLが添付されている)』

我ながら彼の文体の特徴をうまく真似ていると思う。最悪だ。

まあ異性間のやり取りではないのでセクハラだのなんだのと騒ぐ気はないが、これを読めば先輩がどんな人間なのか……は分からずとも、私に同情はしていただけたと思う。「こんなエロい動画見つけたぜ!」と送り付けられるなら何やってんすかと軽くかわせるのだが、先輩はムッツリスケベ&この動画をきっと本気で面白いと思っているので俺は「知りませんでしたー。初めて見ましたー」と適当に返した。URLは開いていない。

 

で、こんなやり取りが何度か続く。数日の間を開けていくつもの「面白い動画」が送られてくる。いや、そもそも面白いと思った動画のURLを送り付けてくるのなんなんだよ。いい加減にしろよと憤った私は、ついにLINEを未読無視。するとそれ以上追及されることはなく、私と先輩の関係は終わったかに思えた。

甘かった。当時の私はまるでクリスピー・クリーム・ドーナッツ。私のドコモメールのアドレスが、先輩からのメールを受信した。LINEが読まれていないことには触れもせず、いつも通りURLが送られてくる。もはやスパムである。肉じゃなくて、迷惑メールの方。肉だったらどれだけマシだろう。好きにして好きにして煮るなり焼くなり好きにして。好きにしたいのはやまやまだが、しばらく先輩の存在を忘れて暮らしていたこともあり、煩わしさが失せていた私はつい返信してしまった。それからしばらくメールはこなかったが、数週間が経って、冒頭に書いた食事のお誘いが送られてくる。

 

実は先輩から食事の誘いを受けるのはこれが二度目である。一度目は快諾した。これには理由がある。「なんだか高そうなとこで奢ってもらえそうだなあ」と思ったからである。その時は先輩が行きたいという店のURLが添付されていて(こいつは本当に何かとURLをつける)、開くと食べログへと飛ばされたのだが出てくるメニューの値段がなかなかのお値段。まあ社会人からしたらそうでもないのだろうが、松屋やマックで食事を済ませアルコールの摂取も滅多にしない私にはこんなところに足を運ぶ権利はない。それでもこれも経験かと思い、苦手な先輩との食事という側面よりも、美味いものがタダで食えるという誘惑に釣られてまんまとついていってしまった。

これが私の罪。そして忘れられない陰惨な歴史である。そうなってしまったのには2つの理由がある。

1.先輩がNAVERまとめの面白い話を延々音読してくる

2.料理を小出しにされると心が折れる

 

1については言わずもがなだと思う。もし自分の親がNAVERまとめに載っている「面白い話」(全然面白くない)を延々音読するような人間だったら俺は潔く首を吊る。あと、当日は「意味が分かると怖い話」みたいなのも全部一つずつ解説されました。「〇〇っていうのを読んだんだけどぉ、これってぇ、こうこうこういうことなんじゃないかなと思ったんだよね」。先輩はつねにこういう喋り方をします。語尾は大体「思ったんだよね」。

で、2。これがまあこの記事のタイトルにもあるやつなんですけど、関係ない先輩の話の方に気を取られて既に1800文字を費やしてしまっている。入ったのはまあまあ高そうな個人経営のレストラン。チーズをウリにしたお店で、料理を頼むと店員がバカみたいにデカいチーズを持ってきてナイフで細かく削って料理の上にパラパラとかけていく。要は鉛筆削りみたいな。1年近く前なので何を頼んだか細かくは覚えていない。でもさ、ああいう店って基本的に一皿が小さい。結構なお値段するのに(原材料や手間もあるしそれが仕方ないことは承知の上だけど)全然腹が膨れない。小食の私でもいくつも料理を注文してしまう。で、しかも先輩の奢りなので変に気を遣う。で、この時思ったのがやっぱりチェーン店最高だなって。やっぱね、一皿で料理が完結してるのが一番。こまごまと前菜を選んでドリンクを選んでメインディッシュをなんやかんやってもうそれだけでだいぶ疲れてしまう。なんで何度も決めなきゃいけねえんだ。松屋なんて券売機のボタン押して終わりだぞ。

 

で、しかも先輩はやっぱりちょっとおかしいので、店員さんを困らせるような質問を連発してしまう。「このチーズはどういうものですか?」とかならまだ許せるものの、それを受けての店員さんの回答に分からないことが生じた瞬間すかさず次の質問を放つ。ハム太郎にナンデ君っていうどんなことにも「なんで?」と聞いてくる割とうざいキャラクターがいるんだけど、ここはハム太郎の世界じゃないので俺は先輩を疎ましく思うし店員さんもチーズ削ったナイフで先輩の目を抉り出しかねない表情。同席してる俺もいたたまれなくなる。へけっ!

 

そんな地獄を経験した私だったが、1年近くのブランクは人を変えてしまう。高いもの奢ってもらえるんだろうなあという安易な思考part.2で私は再びこの身を滅ぼすことになるのだ。

 

食事の誘いを受けた私だったが、約束の時間より30分ほど遅刻して行った。先輩は食後すぐに東京を発つ予定らしかったので、敢えて遅めにいくことで一緒にいる時間を短くしようとする戦法だ。奢ってもらっておいて遅刻とかありえんみたいな意見もあると思うが、私は善人でいようなどとは全く思っていない。自分の不都合は避けたいが美味いものは食ってみたいという最低な考えの持ち主なのだ。

店に入ると、なんと店内の客は先輩一人だけだった。元々席数が少なく4人掛けテーブルが7つほど並んでいるだけなのだが、まさかこんなことになっていようとは。店員にも軽く会釈をして席に着くと、おしぼりを渡された瞬間に先輩からさっそく一撃を喰らった。「乗り遅れたっていうのは、1本逃してしまったということかな?」(先輩は本当にこういう喋り方をする)。事前に電車を逃して遅れることはメールで伝えておいたのでそれを受けての質問だが、この問いが耳に届いた瞬間、私は「出やがったな!」と声に出しそうになった。美味い料理に釣られて失念していたが、この先輩は妙な言葉づかいでこちらにじわじわとストレスを与えてくるのだ。そのストレスは時に不安に、怒りに、憎悪に変貌し、私の心をゆっくりと蝕んでいく。その日、私は彼の一言目で既に苛立ちはじめていた。

 

店長らしき人が丁寧に注文方法の説明をしてくれる。やけにヒゲが長いが人懐っこいタイプなのは分かった。私は先輩に任せてしまおうと話半分に聞いていたのだが、店長が不意に「まあもうご存知ですよね」と先輩に投げかけた。なんと先輩、既にこの店の常連だったのだ。先輩のコミュニケーションクラッシャーぶりに店員が慌てふためく展開だけは何としても避けねばと思っていた私の心が少し晴れた。何度か来店しているならおそらく先輩の面倒くささはつたわっている。店長が厨房の方に戻った後、私は先輩に指示を仰ぎ、コースを注文することにした。

いやしかしこれが面倒くさい。まず一応説明しておきたいのだが、松屋やマクドナルドには前菜という概念がない。いや、最初はサラダから食べなきゃみたいなうざってえ考えの持ち主の松屋ユーザーもいるかもしれないが、基本的に松屋側から前菜だのメインだのと括っていることはない。ドンと出てきたセットを好きな順番で食べる。それがファストフード店の素晴らしいところ。もし松屋の店員がこういう順番で食べましょうなんてほざいた時には俺は地球上から牛を消しててめえらを廃業に追い込んでやる。

 

最初は豆のスープが来た。小さい。マグカップより一回り小さい。まあ不味くはないんだけど味がよくわからない。豆のつぶつぶした食感が若干気持ち悪く感じた。次がサラダ。店員曰く「これ1皿で1日に必要な野菜が摂れる」らしい。味がしない。なんかで味付けしたと言われたけれど、全く味がしない。野菜も何なのかよくわからず、ただ緑色を食べ続ける2人。先輩はいろいろ分かっているのかもしれないけど。

このサラダを食べていた時、事件は起きた。完全にサラダ記念日である。私がサラダを食べていると、コバエが机の周りを飛んでいることに気づいた。皿の上に乗られたら嫌だなと思いつつも、小さいハエだし追い出してもらうほどでもないしまあ仕方ないかと思っていたらいつの間にか味のしないサラダを平らげていた。コバエ問題は杞憂だったわけだ。俺の皿はね! コバエ、なんと間の悪いことに私が完食した瞬間に先輩のサラダに乗ってしまった。コバエ~~~~!!!! 気づくな気づくなと願ったが、この人はそういうとこには目ざといのだ。先輩はコバエが乗ってしまったキュウリ(だと思う。縦長に薄く切られていたので実質サラダのメイン)をよけ、それ以外を全て平らげた。店員が私たちの席に近づき、皿を回収しようとしたその瞬間! 

「あのぉ、これ食べようとしたんですがぁ、虫が乗ってしまって……」

しかも不運なことに、対応してくれたのは入って間もないであろう新人のお姉さん。おそらく勝手も分かっておらず、それまでのオーダー等もずっと店長の後ろで見ていた。そんなお姉さんの慌てぶりを、このバケモノは全く気にしない。だが、このやり取りには明らかに誤解が生じていた。コイツはコミュニケーションがとてつもなく下手なのだ。

先輩と長い付き合いの私には、先輩の言いたいことがはっきりと分かる。先輩はクレームをつけたいわけではない、皿を取り換えろ新しいサラダを用意しろと言っているのではないのだ。先輩が言いたいのは、「残してしまったのはハエが止まったからです」ということ。つまり、キュウリ残すなよと店員に思われるのが嫌なのだ。そういう世間体を気にするやつなのだこいつは。すかさず店員に詳しく説明しようとしたが、「あっ、あの、確認します!」と慌ただしく厨房へ駆けていくお姉さん。違うんだ、違う、誰も悪くないんだ、いや強いて言えばこいつが悪い。数分経って店長が登場。「えっと、なんですか? 虫?」。私は、「虫が乗っちゃって食べれなかったという説明だったんです。取り換えてくれとかではありません」としっかりと説明し、皿を下げてもらった。

これがサラダ事件である。

 

店長が2段になったプレートをセットし、新たな料理が登場。下の段で鉄皿に入れたチーズを蕩けさせ、上の段で焼いた野菜やベーコンにつけて食べてください、と説明があった。チーズは5種類用意されており、皿の配置で反時計回りに食べることで徐々に味が濃くなっていくというおしゃれ仕様。これは確かに美味かったが、チーズの焼き加減を間違えるとカチカチに固まってしまったりしてうまく蕩けさせることができない。結局私はただチーズだけを食べ、その口に急いで野菜たちを流し込んでいた。そのせいか、先輩よりも食べる速度がやけに速い。私がすべてを平らげた頃、先輩はまだ2種類目のチーズを溶かす段階にいた。実家に帰る新幹線の時間は迫りつつある。

この先輩の厄介なところは、変におぼっちゃまなのだ。というか、実際実家はかなりの金持ちらしく学生時代から何千円という高級ランチを貪ってはTwitterで感想を上げるという趣味の持ち主であった。ただ、人とのコミュニケーションに問題があった彼はフォロワーたちに次々とブロックされていき、確かサークルの全ての人間が彼をブロックしたのだったと記憶している。で、このおぼっちゃま、食べてるときは絶対に喋らない。変なとこでしっかりとマナーをわきまえている。口を押えて喋ることも絶対にしない。咀嚼中に話しかけると、飲み込むまでずっと待たなくてはならないのだ。それを知っている私は絶対に彼に話しかけない。ペースが遅くなると面倒だし、話したいこと聞きたいことも特にないのだ。何度でもいうが、私は高いものを奢ってもらいに来ただけなのだ。

彼を見ていると、その異様さがよく分かる。彼はものを食べているとき、やけに動きががさつになる。例えばプレートで野菜を焼いているとき、ガツガツと物音を立て、キョロキョロと首を振る。次のチーズに乗り換えるために鉄皿からチーズをヘラで落とす時も、やけに力を入れてしまう。この人はこういった不器用な一面も持っている。サラダを食べた時もガチャガチャ音を立てていて最悪だった。しかし、本人は全く喋らない。咀嚼中は喋らないのが彼のポリシーだ。ただガチャガチャだけが店内に響く。

そしてキョロキョロ。これが私の思う彼の最も気持ち悪い仕草である。彼は首の角度を変えるとき、まるで鳩のようにキュッと素早く首を動かす。この不気味な動作に数々の部員が恐れをなしていた。食事中はこの鳩のような動きを繰り返しながら咀嚼するので本当に気持ちが悪い。見てて不快になる。しかし、チーズを食べ終えた私には目の前の彼を見る以外にすることはなかった。吐きそうになる。

 

ここで馬肉のグリルを注文。これは私のチョイス。野菜ばっかり食べさせられたので肉を食べたくなったのだ。というか最初から肉だけでもよかった。トンカツとか食いたい。で、これも少し焼いてから食べるというシステム。軽く鉄板の上に乗せると、赤かった馬肉が見る見るうちにコンクリートのようなグレーに染まっていく。生でも食べられるという店員の言葉を信じた私は、表面だけを焼いて馬肉を喰らう。美味い。ここにきて初めて食事をしているという気分を味わうことができた。しかし難点もある。噛み切れない。筋がしっかりとしている上に、飲み込むにしても大きさがある。噛み続けなんとか小さくし、飲み込む。この動作を懸命に繰り返し完食したところで、私はとんでもない光景を目の当たりにした。

ペッ

先輩が、噛み切れなかった肉を皿に吐き出したのである。少し前に彼のマナーをほめたばかりだというのになんだこの醜態は。キュウリの時のような言い訳はできないぞ。思わず「何してんすか」と茶化すと、まじめな顔で「いやっ、これっ、噛み切れな……」と言われた。噛み切れよ。キュウリを残したことすらも誤解されたくなかったような繊細な心の持ち主がそんな諦め方するなよ。食えよ。先輩の皿には噛み跡と唾液でぐちゃぐちゃになった一切れの肉が残された。店員これ見たらどんな顔するだろと思った矢先、

ペッ

二発目が放たれた。噛み切れなかったのである。いや、であるじゃねえよ。噛み切れよ。いい加減にしてくれ。皿の上の汚物の数が倍になった。見るにも耐えず、私は彼と皿から視線を逸らし、スマホの画面に目をやった。そこで思い出したように時計を確認した先輩が軽く目を見開いた。どうやら新幹線の時刻が迫っているらしい。「もうデザート頼もうか」と私に一言添えて、大声で店員を呼びデザートを注文。先輩が吐き出した肉も皿ごと回収された。本当にすみません。

 

デザートはアイスの実サイズのジェラートとおちょこみたいなカップに入ったコーヒー。決して不味くはないが、小さすぎて驚く。こんなんシルバニアファミリーでも喜ばねえよ。そしてお会計。ここで先輩、スマホを取り出す。実は来店時から何度かスマホをチェックする光景はあったのだが、ここでチラリと覗き込むと、なんとメモアプリに今日の料理の値段を逐一メモしていたのであった!

コースとはいえ、飲み物は別料金。馬肉のグリルも数種類から選ぶうちの1つだったので、確かに単純計算ではおさまらない。ある程度把握しておかないといけないが、そんな醜態を後輩の前で晒すなよ……。まあちゃんと奢ってくれそうな雰囲気は掴んだので、私はこれ以上何も言わなかった。

「すみませーん!」またしても大声で店員を呼ぶ。駆けつけた店長に対し「お会計お願いします!」と今日一番のデカい声。なんなんだその自信。で、お会計を渡されてすぐに財布からカードを取り出して手渡す。なんせ自分で計算してるんでね、見る必要がないんですよ金額を。彼がカードを渡した時に店員に言い放った一言が頭にこびりついて離れない。「僕が払います!」、うん、だから何で大声なんだよ。あとそれ店員には言わなくていいやつだから。俺には言った方がいいけどさ、店員にとっちゃ誰が払おうと関係ないからね。そこで変なアピールいらないから。

で、最後はクレジット伝票に関してああだこうだと聞いてました。レシートが出なかったのかな遠くにいたんでよくわからなかったが、まあトラブってることだけは分かった。お会計はおそらく13000円前後だったかと。俺はニコニコして帰る支度をする。その後、駅から電車に乗り2駅目で先輩が乗り換えのため、解散。はい、地獄はおしまいです。ここまで読んでくださりありがとうございました。

 

というわけで、最初はオシャレなレストラン体験談にするつもりが、やはりこの事件に先輩のことを書き漏らす理由はないよなと思い組み合わせたらほぼ愚痴になってしまったという話でした。まあブログだしこんなもんで許してください。普段はまじめに映画ブログとか書いてるんですが、たまにこういうどうでもいいことを言いたくなる。

 

 

とっとこハム太郎20周年なのだ! (ワンダーライフスペシャル)

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ハム太郎とっとこうた - とっとこハム太郎テーマ曲

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