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映画「悪の教典」ネタバレ感想! 海猿による高校生大殺戮

 

 

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映画『悪の教典』公式サイト



 

 

はじめに

高校生が次々と死んでいくシチュエーションの映画は数多くあるが、この映画はほかの映画とは一線を画す。何せ生徒を殺すのが教師で、伊藤英明で、しかもそれが主人公なのだ。暗めのトーンの学園物が世に出るたびに名前の挙がる「悪の教典」。私が鑑賞したのはつい最近だが、なるほど確かにこれは物議を醸しそうな作品である。何より、「海猿」などで爽やかマッチョな好青年のイメージを強固なものとした伊藤英明が容赦なく高校生を殺していくのだ。前半の清潔感がまた恐ろしい。伊藤英明って本性は人殺しなんじゃないのと思わせてしまうほどの演技力。ところどころ拙い英語を話すのが玉に瑕だが、その奇妙さも相まって見事なサイコパスが仕上がっている。もう海猿をまともに観ることはできないだろう。

 原作は貴志祐介の小説。私はこの人の作品はデビュー作「十三番目の人格 ISOLA」しか読んでいない。「ISOLA」にはいわゆる多重人格と呼ばれる症状を持つ少女が登場するが、「悪の教典」にも精神的に問題を抱えたサイコパスが出てくる。というか主役だ。

 

 

あらすじ

蓮実聖司は、生徒から“ハスミン”という愛称で呼ばれ、絶大な人気を誇る高校教師。 学校やPTAの評価も高く、いわば「教師の鑑」とも呼べる存在だったが、それはすべて仮面に過ぎなかった。 彼は他人への共感能力をまったく持ち合わせていない、生まれながらのサイコパス(反社会性人格障害)だったのだ。 蓮実は自らの目的のためには、それが最善の策であれば、たとえ殺人でも厭わない。
学校が抱える様々なトラブルや、自分の目的の妨げになる障害を取り除くために、いとも簡単に人を殺していく。 そして、いつしか周囲の人間を自由に操り、学校中を支配しつつあった。 だが、すべてが順調に進んでいた矢先、小さなほころびから自らの失敗が露呈してしまう。 それを隠滅するために考えた蓮実の解決策。 それは、クラスの生徒全員を惨殺することだった…。(公式HPより抜粋)

 

 

予告

www.youtube.com

 

 

 

キャスト・スタッフ

監督・脚本:三池崇史

近年では漫画の実写化映画でお馴染みの三池監督。来たオファーは絶対に断らないという話もある。伊藤英明とは後年「テラフォーマーズ」でもタッグを組んでいる。邦画のアクション映画を撮れば良作を生み出す印象。「ゼブラーマン」「ヤッターマン」「妖怪大戦争」など

 

蓮見聖司:伊藤英明

ハスミンの愛称で親しまれる英語科教師。元海猿。生徒や他の教員からも絶大な人気を誇るが、その正体は共感能力に欠けたサイコパス。幼いころに両親すらも手にかけている。自分に都合の悪い人間は容赦なく殺す。本当に全く躊躇がないので観ているこっちが心配になるほどである。

 

早水圭介:染谷将太

集団カンニングを企てたりと素行の悪い生徒。教師のことも舐めてかかっていたが、蓮見の凶行に一早く気づく。

 

片桐怜花:二階堂ふみ

ヒロイン。二階堂ふみなので記憶には残るが特に何をしたかと聞かれると特に何もしていないような気がしてくる。

 

安原美彌:水野絵梨奈

柴原から救ってもらったことを機に蓮見と肉体関係になる生徒。中盤で蓮見の正体に気づいてしまい、命を狙われる。

 

柴原徹郎:山田孝之

女子生徒の弱みを握り肉体関係を強要する変態教師。一方でドラムの演奏が上手かったりと生徒から一目置かれることもある。

 

 

感想(ネタバレあり)

伊藤英明が生徒を次々と殺すサイコパス教師に! という宣伝や評判に嘘はないが、正直それだけに留まる印象であった。原作が文庫にして2冊に渡る小説のため致し方ないのだが、やはり展開が急で、「きっと原作だとこの辺りが丁寧に描かれていくんだろうなあ」と邪推してしまう。まあR15指定でも、こういった殺戮描写のある映画(むしろ殺戮がメインの映画)が日本で作られていくのは非常にありがたいし嬉しいことなのだが、もう少しうまく練り上げられなかったのかなあと。

しかし、注意深く見ると生徒役の中には今では有名な人たちもこっそり出演していて、そういった意味では非常に楽しめる。岸井ゆきの、伊藤沙莉、松岡茉優。今ではヒロインの座を奪い合うような面々が一堂に会しており、出番は少ないが初々しい演技を垣間見ることができる。

生徒を次々と殺す教師というインパクトのある題材だけに、ただ銃で撃つだけというのが残念である。もっと容赦なく様々な殺し方を考えてほしかった。というのも、標的になる生徒たちが弱すぎるのである。最終的には、死体を利用して死んだように見せかけることで二階堂ふみを含めた二人が生き残るのだが、正直それ以外の生徒の行動はどれも面白みに欠ける。リアルで深夜に殺人が起きたら確かに硬直してしまうのだろうが、私が観たいのはフィクションなのだ。もっと頭を使い、体を動かし、策を練ってほしかった。蓮見の狂気は見どころだったが、銃で撃ってくるだけならば戦い方はあったのではないだろうかと思えてしまう。生徒の個性を利用して、さながら暗殺教室のように様々な対抗策を講じるような物語を望んでいた。そして、それを圧倒的な知識と身体能力で蹂躙する伊藤英明という構図が観たかったのだ。

私が洋画かぶれしているというのもあるのだろうが、正直に言えばこの作品は話題性だけであまり面白みのない作品であった。公開から数年経過しての鑑賞だったのもよくなかったかもしれない。蓮見による一方的な殺戮は、狂気こそ感じるものの、映画としての面白さにはつながらなかった。

 

 

 

悪の教典

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悪の教典 上 (文春文庫)

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